通貨安競争では分が悪い円

今週の為替相場は、
乱高下が予想されます。

アベノミクスの強力な支援材料として、
日銀はマイナス金利導入を決めました。

当初こそ、マイナス金利導入は円売りに繋がり、
政府・日銀は為替市場のサプライズを誘い、
アベノミクスの支援、甘利大臣の辞任の
政治的ショックを隠す効果があったことに
安堵したと思います。

しかし、原油安や中国経済、世界経済の
不透明感が広がる中で、通貨安戦争が
起きる端緒が見えてきました。

日本は、円安にして株価を支えることや
輸出主導の景気回復を図りたいと考え、
絶好の円安の仕掛け場面だったと思います。

ただ、米国は日本が円安政策を公然と
打ち出したことに、嫌悪感を抱いていたようです。

中国をやり玉にあげながら、通貨安政策を
行うことに、釘を刺しています。

米国の経済が磐石なら、ドル高は強い米国の
象徴として受け入れる余裕があったでしょう。

しかし、米国では経済の先行きに
対し不透明感が広がっています。

原油価格の下落は、米国のエネルギー産業の
経営に悪影響を与えているようです。

一部では、エネルギー産業の経営不安説が
浮上するなど、企業が存続出来るか否かが、
取り沙汰されています。

経済指標の発表も、米景気が
まだら模様であることを印象付けています。

この中で、イエレン米FRB議長は、3月にも
憶測されていた利上げについて、慎重な見方を
示しています。

こうしたイエレン議長の姿勢も、
ドル売り・円買いを誘ったのだと思います。

米国の景気が予想を下回る可能性が強い中で、
ドル高を思考することは難しいのだと思います。

特に、今年は大統領選挙の年です。

上下両院の議会選挙もあります。

こんな時に、ドル高を
思考しないことは明白です。

せっかく、回復軌道に乗った雇用統計が
ドル高で崩れるのも避けたいところです。

そうなると、日本が新アベノミクスを支援する
安政策を行うことに不快感示す可能性が
強くなることが予想されます。

その前哨戦が今年に入ってからの
為替市場の動きだと思います。

当初円高に振れて、その後、円安に振れ、
日本が円安を意図したマイナス金利導入を
決めると、急激な円高に振れる、何かに
導かれたような、為替相場の動きだと思います。

この中、マイナス金利で先行したユーロ圏では、
銀行の経営に対する不安感が台頭しています。

欧州株の大きな要因の一つが、金融機関に対する
懸念が材料と指摘されており、マイナス金利
金融機関の経営に悪影響を与えているようです。

為替市場は、米国、欧州の材料、原油価格、
世界的な株価の影響を材料に、乱高下する
可能性は残していると考えます。

予想レンジは、
ドル円が108.80〜104.80円、
ユーロ円が122.80〜128.80円、
英ポンド円が158.80〜166.80円、
ドル円が77.80〜83.80円。