1月21日開催のECB議事要旨、下振れリスク増大を認識

欧州中央銀行(ECB)が公表した1月21日開催の
理事会議事要旨で、ユーロ圏景気は緩やかな回復が
継続しているものの、下振れリスクが高まっており、
原油安による二次的影響が生じつつある兆候が
見られるとの認識が示された。

この中、一部政策担当者からは先手を打って
行動を起こす必要があるとの考えも示された。

新興国の経済減速に起因する成長への新たなリスクが
ユーロ圏の景気見通しを引き続き圧迫しているほか、
賃金の伸びの鈍さは、原油安が他の財・サービスへも
波及する二次的影響がすでに実体化している可能性を
示唆していると指摘している。

ECBは1月の理事会で主要政策金利を据え置いたが、
ドラギ総裁は会見で、3月に金融政策の見直しを
行う考えを表明、追加緩和の可能性を示唆した。

議事要旨は「新興国の成長見通しをめぐる不透明性や
金融市場のボラティリティー、地政学リスクが
増大する中で、年初から下振れリスクが再び高まった」
と指摘。

さらに「インフレ見通しの度重なる下方修正が、
インフレ期待に影響を及ぼしているとの兆候は
強くなった。これにより、ユーロ圏で低インフレ環境が
長期化する可能性が高まった」とし、「インフレ期待の
低下とともに、賃金の伸びも想定を下回っており、
二次的影響のリスク増大を示唆している」とした。

今回の議事要旨からは、原油安により低インフレ環境の
定着などの二次的影響が引き起こされるとの懸念への
対応にECBが苦慮していることが判明。

「リスク(の方向)が圧倒的に下向きで、さらに
新たな下方リスクが台頭している状況下では、
リスクが完全に具現化された後に行動を起こすより、
先手を打つことが望ましい」とし、インフレが
目標から一段とかい離する状況が長引けば
「行動を起こす意思がない、もしくは金融政策の
効果がないとの誤解が生じる可能性がある」
としている。

また中国については、現在進行している経済の
リバランス(再均衡化)の動きは歓迎すべきもの
としながらも、「予想より大きな影響が及び、
経済のハードランディング(硬着陸)を引き起こす
恐れがある」と指摘し、市場の混乱が続くなか、
ECB内で中国に対する警戒感が高まっていることも
明らかになった。

このほか、ECBは数多くの政策手段を有しているなど
とのメッセージを発し、市場とのコミュニケーションに
より重点を置く必要があるとの認識も示された。