ドル、下値メドを意識か

今週の為替相場は、ドルが下値メドを
意識する展開となりそうです。

前週末発表された米雇用統計は、失業率は
改善したものの、非農業部門の新規雇用者が
3.8万人増にとどまったことで、6月、7月の
利上げは遠のいたとの見方が強まり、ドルは
対円で一気に106円台半ばに下落する動きを
見せました。

これまで、為替市場では先のイエレン米FRB議長が
近い将来に利上げの可能性があることを示していたことで、
早ければ6月にも利上げが行われるとの思惑が広がり、
ドル底堅い動きを示していました。

しかし、原油価格が下落したことなど再びリスク回避の
動きが強まり、ドルは年長な動きを見せていましたが、
新規雇用の伸びが3.8万人増にとどまったことから、
ドル売りが強まる展開となりました。

これまで、市場は6、7月には利上げは行われるとの
シナリオに沿って、ドル買いを進めていましたが、
雇用統計の悪化は利上げを後ずれさせたとの読みが強まり、
ドルは安値圏に下落しました。

円は対ユーロでは121円台前半、対英ポンドでは154円台後半、
スイスフランでも109円台前半に急伸するなど、円全面高の
動きとなっています。

対欧州通貨では、英国のEU離脱を巡る国民投票が気掛かりで、
リスク回避を意識した円買いが再び強まっているわけです。

もちろん、来年の消費税率の引き上げを延期せざるを
得なかったことは、日本の信認に大きな影響を与えると
考えています。

格付けが引き下げられることや、日銀による追加緩和の
動きが出るなど、円にとっても弱材料が出ています。

しかし、それ以上に、米利上げは確実と思われていたことが、
今回の雇用統計の冴えない結果で、無くなってしまったことが、
これまで利上げを見込んでドルを買っていた動きがしぼんだことが、
為替市場で円買いが優勢になったとみています。

今週も様々な材料がありますが、米利上げを巡る
金融当局者の発言、来週の英国での国民投票を巡る
政府高官の発言等々を見極めていく動きが強まると
思います。

ドル円で見れば、105.20円を超える円買いが進めば、
一気に103、102円台の円高が実現する可能性もあると
思います。

これに対し、日本サイドの政府高官発言は
かなり厳しくなるものと思いますが、実際に
介入を行うか否かが大きなカギになると
考えています。

介入が行われず、発言だけにとどまるのならば、
対ドルで100円を突破する動きが見られる可能性が
あると思います。

日米間で温度差があった、ドル円相場の水準感について、
一つの答えが出る週になるとも思われます。

予想レンジは、
ドル円が102.20〜108.20円、
ユーロ円が117.20〜123.20円、
英ポンド円が149.20〜156.20円、
ドル円が73.20〜80.20円。