欧州情勢、なお注視

今週の為替相場は、引き続き
欧州情勢を注視する展開となりそうです。

英国のEU離脱問題は、これから本格的な
動きが出てくると考えています。

英国がEUから離脱した直後の混乱は、
やや収まりつつありますが、英国で
新首相が決まって、英国とEUとの間で
どのような会話が交わされるのか、
まだまだ波乱場面はあるかと思います。

さらに、英国を取り巻く情勢は
どうなるのでしょうか。

ロンドン・シティの行方はどうなるのか。

英国内も、離脱派と残留派で分かれている状態です。

そして、スコットランドは再び
英国からの離脱を窺う動きを見せています。

為替市場、株式市場は落ち着いているかに
見えますが、英国では中銀総裁がこの夏の
金融緩和実施を伝えると、為替市場では
再び英ポンドが下落するなど、落ち着きは
なかなか出てきません。

英国では、EU離脱について、反対する意見が
いまだに多く、こうした動きも、EUとの
離脱交渉の妨げとなる可能性が出ています。

また、各国で発表される経済指標も、英国が
EUを離脱した後の数字ではなく、良い数字が
発表されても、離脱ショックを入れれば、
悪化する可能性が高いことが指摘されています。

この中、今週は米国で雇用統計が発表されます。

前回の雇用統計では、非農業部門の新規雇用が
低水準となったことで、米国の利上げが遠のいた
との判断に繋がりました。

今回、新規雇用は前回の数字が異常に低かった
という感じになりそうですが、これで米国が
利上げをするという発想に戻ることはないと考えます。

英国のEU離脱の影響を考える動きが続くものとみられ、
米国の利上げの可能性は年内は難しいことになる可能性があります。

その他、各国で経済指標が発表されますが、いずれも
英国のEU離脱を織り込んだ数字ではないだけに、離脱の
影響を織り込めば悪化するとの判断が強まるものと思います。

この中、日本では円高だけが問題になっていますが、
米国からは今の為替相場の水準は何化しなければ
いけない水準ではないとの指摘がされており、
日本の円高けん制、介入論議に対して、極めて
冷静な構えを見せています。

つまり、米国としては、介入の必要はない
と示しているのです。

米国からすれば、ドル高の状況なのです。

英ポンド安、ユーロ安が進んで、ドル高の状況なのです。

そんな時に、円高だからと言っている
日本に甘い顔をすることはできません。

アベノミクスを成功させるために、円安・日本株高を
演出することは、了承したものの、この間の円安・日本株高で
日本の当初の目的は果たしたと考えている模様です。

日本では、円高=介入を指摘する声が多いのですが、
米国の理解を得られない以上、その選択はできない
と考えています。

英ポンドがさらに急落して、ユーロも急落、世界経済に
悪影響を与えたとき、そして、ドル安・円高が急激に
進んだとき、その時が協調介入に入る時だと考えます。

その水準は、90円を割り込んだ水準とみています。

いずれにしても、今の為替相場は、英ポンド安・
ユーロ安の状態なので、米国が主導的な役割を
演じることは考えにくいと思います。

今の米国ではやっているトランプ劇場のように、
孤立主義に覆われているのが、米国の状況だと
考えていたます。

協調の名に値しない協調路線を維持する姿勢を
示すものとみています。

つまり、協調介入の可能性は少ないと思います。

予想レンジは、
ドル円が96.20〜104.20円、
ユーロ円が108.20〜116.20円、
英ポンドペンが128.20〜138.20円、
ドル円が70.20〜80.20円。