南シナ海、中国の主張認めず=仲裁裁判所

オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、南シナ海問題をめぐる判決で、
中国が南シナ海をほぼ囲むように設定する独自の境界線「九段線」について、
「歴史的権利を主張する法的根拠はない」との判断を下した。

また、南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国が造成する人工島に関し、
排他的経済水域EEZ)は生じないと判断した。

フィリピンは、2012年に同国に近いスカボロー礁が中国に
実効支配されたことなどを受け、2013年に国連海洋法条約
基づき仲裁裁判所に提訴。

九段線について、国際法上根拠がなく違法だと主張していた。

フィリピンはまた、人工島の基盤となる暗礁などが満潮時に
海面に沈む「低潮高地」あるいは「岩」なのか、国連海洋法条約
認められた「島」なのかについても判断を求めていた。

「島」と判断されなければEEZは認められない。

仲裁裁判所は昨年10月、岩礁が低潮高地に当たるかなど
訴えの一部に関し裁判所に管轄権があると認め、審理を続けてきた。

中国は、九段線の設定は「歴史的な権利」と主張する一方、
仲裁手続きに関してはこれまで一貫して拒否。

習近平政権は「仲裁裁判に管轄権はなく、判決には拘束力がない」
王毅外相)との立場を取り、判決には従わない姿勢を示している。