為替相場は一進一退推移か

今週の為替相場は、一進一退推移が
予想されます。

米国の利上げを巡る思惑が依然として燻る中で、
米国以外の先進国の中央銀行は、金融政策を
据え置きにせざるを得ない動きが目立っています。

実際に金融緩和に踏み切って、それがその国の経済の
回復につながるのか、それも明らかになってはいません。

日本を見れば、政権によって金融緩和を強いられたものの、
金融緩和だけでは日本経済を立て直すことはできなかったことは
明らかです。

しかし、政権はさらなる金融緩和を求めているようですが、
日銀は金融緩和には踏み切れていません。

金融緩和=円安=株高を約束して、黒田日銀総裁も、
さすがにこの状況では金融緩和には踏み切れない状態だと
思います。

むしろ、構造改革、財政支援など、金融緩和の
後押しをする施策を政府が行うことが必要だと
考えているようです。

日銀が政治的な局面で金融緩和に動くときには、
必ず、政府からの二の矢、三の矢があることが
重要であることを以前、示唆されたことがありました。

政治的な金融緩和でも、そうした条件があれば、
日銀としても意図せぬ金融緩和を行うこともあった
とみられています。

ところが、政権は、ただ金融緩和を迫るばかりで、
金融緩和=円安=株高という、好循環を重ねた時に、
政府が何もしなかったことは記憶に新しいことです。

日銀としては、あれだけの決意をして、
金融緩和=円安=株高を演じたのだから、
なんで政府が支援をしてくれなかったのか
との疑問もあると思います。

結局、日本政府は、どのような構造改革
行えば良いのか、答えを用意していないという
ことでしょうか。

米国の利上げについても、早い時期で
実施したいのでしょうが、発表される
経済指標弱さが、利上げの道を遠のかせています。

FRB幹部は、条件をあげて利上げは実施できると
していますが、その条件がなかなか満たされないのです。

市場は、強気のFRB高官の発言でドルを買っては、
はしごを外される動きが続いています。

二度あることは三度ある、市場は、FRBの強気の発言に
オオカミ少年」の声を聴いているのかも知れません。

この中、北朝鮮が核実験を行いました。

為替市場でも、この動きはリスク回避の
円買いという形で反映されました。

北朝鮮が、実践に使える核の開発、ミサイルの
開発にかなり技術を向上させている、
そんな思惑が国際的に広がっているようです。

いきなり、米国までの核弾頭の発射はないにしても、
日本を標的に、核弾頭の発射を模索する動きが
あるかも知れません。

日本の排他的経済水域に、ミサイルの発射を
成功させているので、あとは小さくした核弾頭を
付けるだけです。

日本を攻撃することは、中国や韓国の理解を
得やすいと、北朝鮮は考えているのかも知れません。

北東アジアでは、日本は孤立している、そんな風に
北朝鮮が考える理由が、中国や韓国関係者の発言で
読み取っているのではないでしょうか。

しかし、為替市場は、米国のメンツがつぶされたことによる、
リスク拡大による、ドル売りを意識する向きが増えているような
感じがします。

実際に、北朝鮮が核弾頭を発射した場合には、
それが日本に向かった場合に、これは日本が
金融市場を開いている場合ではないことは
明らかだと思います。

そうした緊張感が起こった場合には、リスク回避の
円買いはなく、地政学的リスクの円売りが意識される
可能性があると思います。

今は、米国の利上げがあるのか否か、その確度を
見極める米経済指標の中身を見極める動きになる
と思います。

最近の為替相場の動きの乏しさには、米国の
利上げのタイミングを睨んでいることが
大きな要因に鳴っていると思います。

引き続き、北朝鮮が暴発しない限りは、
100〜105円を中心にしたレンジ相場が
予想されるものとみています。

予想レンジは、
ドル円が98.20〜106.20円、
ユーロ円が112.20〜117.20円、
英ポンド円が129.20〜138.20円、
ドル円が72.20〜80.20円。