ドル買い材料は一巡か

今週の為替相場は、ドル買い材料が一巡したとみられることで、
ドル買いのスピードも減速することが予想されると思います。

米国で次期大統領がトランプ氏に決まったことで、
その経済政策等に対する期待感が強まり、ドル買い、
株買いが強まる動きとなりました。

この中で、OPECが協調減産で合意したこともあり、
さらにドル買いが強まり、ドルは対円で114円台後半まで
上昇する動きが見られました。

その後発表された米雇用統計で、失業率が4.6%に改善、
非農業部門の新規雇用者も17.8万人増となったことで、
12月のFOMCでの利上げは間違いないとの見方が強まりました。

しかし、これを材料にしたドル買いも続かず、その後は
利食いのドル売りが強まり、ドル円は113円台半ばで取引を
終えました。

この流れを引き継ぐ今週は、ドルの買い材料を意識する動きが
予想されますが、大きな関心を集めていた米国の利上げが
ほぼ確定的となったとの読みが強まったことで、とりあえずの
材料出尽くし感が広まっています。

また、米国の利上げペースについて、年2回の利上げを
想定する声が強まっていましたが、非農業部門の新規雇用者の
9、10月分が下方修正されたことで、利上げペースについて
懐疑的な読みも広がり、ドル買いが続かなかった要因との声も
出ています。

この中、今週はEVBが定例理事会を開催します。

今後のECBの金融政策について、市場に示唆する姿勢を
見せるとドラギ総裁が事前に発言したこともあり、
ECBがどのような姿勢を示すのか注目されると思います。

基本は政策金利は緩和を維持するとみていますが、
将来的な緩和解除を示す発言が出てくるのか否か
注目したいと思います。

緩和解除に向けた発言が出てくれば、これまでのように
金利差拡大からのユーロ売りは一気に収束する
可能性もあり、重要なポイントになると考えています。

一方、円はリスク回避の動きの円買いが、
円売りに大きく舵を切りました。

トランプ氏の経済政策、財政政策が米国にとって
好材料との読みから、ドル、株価、金利ともに
大きく変化がありました、

この流れを続けることが出来るのか、
レーガン元大統領の就任時も、
「強いドル・強いアメリカ」を標榜して、
膨大な双子の赤字を生んで、結局、
急激なドル安に追い込まれた歴史があります。

これを古い市場関係者は忘れてはいませんが、
新しい市場関係者がどのように意識していくのか、
見極めたいと思います。

円は結局、その時々の米国の姿勢によって、
大きく乱高下する宿命にあります。

当面は、そのようなことはないと思うのですが、
トランプ氏の経済政策、財政政策が転換するような
ことがあれば、その調整の犠牲になる可能性は強く、
用心する必要があると思います。

足元は、米利上げを100%に近い織り込みをした後で、
ドルをどこまで買えるのか注目したいと思います。

予想レンジは、
ドル円は108.20〜116.20円、
ユーロ円が116.20〜124.20円、
英ポンド円が138.20〜146.20円、
ドル円が78.20〜86.20円。