ドル高傾向は継続か

今年の為替相場は、ドル高傾向が
継続する流れとなると思います。

トランプ氏が次期大統領に当選を決めて以降、
市場では、トランプ氏の経済政策等を睨んで、
ドル高・株高、債券利回りの上昇を意識した
取引を強めていました。

ドルは、対円で100円台前半の水準から
118円台まで上昇する激しい動きを見せました。

株価も最高値を更新して、高値圏での動きを
続けています。

債券利回りも、次の利上げを意識させる水準まで
上昇しています。

トランプ氏の政策が事前予想通り進めば、ドル高・株高、
債券利回り上昇はなお継続するのではないかとの見方が
市場では多数派となっているようです。

一番気になるのが、トランプ氏のドル高の進展に
対する態度です、

先の大統領選挙中に、米国の輸出回復を目指し、
貿易相手国に対し、自国通貨安の政策を保持することは
許さないと述べ、ドル安で米国の輸出回復を目指す
との指摘もしていました。

中国に対する厳しい姿勢が、トランプ氏の主張を
裏づけているような感じがしています。

しかし、米国の経済政策を小出しにする中で、市場は、
強いドル、強いアメリカ、強い株価をトランプ氏は
志向している、そんな評価を下しました。

その後、ドル、株価は上昇し、債券利回りも
上昇傾向を強めました。

当初は、株価の上昇はともかく、ドル相場の上昇や、
債券利回りの上昇には歯止めをかける発言が
出るのではないかの見方も出ていましたが、
株高がすべてを変えたような気がします。

株価が上昇を続ける限り、米国の経済は力強い、
そんな見方をトランプ氏がしているのではないか
と考えます。

株価の上昇が、トランプ氏の政権を支えると
考えているのではないでしょうか。

政治の世界を知らず、ビジネスマンとして生きてきた
トランプ氏だけに、「それは儲かるのか」がすべての
価値判断になっているような感じがしてなりません。

そうなると、大統領選挙に勝利した瞬間に、株価や
ドルが上昇、政策を何も打ち出さないうちに、
米国民にとって、プラスだと思う方向に相場が
動いたことで、この流れを継続したいと考えているのでは
ないかと思うのです。

市場の一部が懸念する、双子の赤字の再来などは、今、
見えていないだけに、無視すればよいと考えているようです。

市場は、そうしたトランプ氏の意向を先取りする形で、
ドル高、株高を進めているような感じがします。

この流れは、2017年も継続するような感じがします。

トランプ氏の政策にマイナスになるような事態に
ならない限り、株高・ドル高が米国にとって困らない、
利益になることだと確信している節が窺えており、
市場はその姿勢を見ながら株高・ドル高を
演出し続けるのではないでしょうか。

そうなると、ドル円は120円台ではドルの上値を
抑制することなく、130円台、さらには140円台も
視野に入ってくるのではないでしょうか。

中国にとっても、この流れの中で、元安が
進展すれば願ったり叶ったりです。

太平洋を中米で分割しようとする提案をしながら、
元安を享受する見通しがついたと安堵している
かもしれません。

さらに、ロシアに対する経済制裁も緩和するような
事態になれば、米国の輸出に弾みがつく可能性もあります。

米中露で、世界を支配していく、そんな夢を
トランプ氏は抱いているのかもしれません。

そのためには、今の株高・ドル高は
必要絶対条件なのかもしれません。

米中露の関係が良好になることで、米軍を海外に
派遣するコストは格段に減ることになります。

経済面では、中国、ロシアとの貿易で米国が
得られる利益が格段に膨らむわけです。

ビジネスマンとしては、素直に受け入れられる
ことなのかも知れません。

この中、欧州ではイタリアを中心に金融危機
恐れが膨らんでいます。

欧州全体に広がる恐れが出ています。

また、難民受け入れについて、各国とも
反対の声が上がり始めています。

今年は、欧州で大きな選挙があります。

難民に対する反対姿勢を唱える政党が
国民の支持を得始めています。

金融システム、社会の不安定さが欧州で強まる
懸念があり、それも為替市場ではドル買いに
つながる要因だと思います。

この流れは、トランプ氏が気付くまでは
続くと思うのです。

ドル高や株高、債券利回り上昇の弊害に
気が付くのは、時間がかかると思います。

これらのマイナスが、米国経済の足を引っ張ることが
明白になった場合には、その修正の動きがあるかも
知れません。

その時には、大変な混乱が来ると思いますが、
その時期はなお先になると思います。

この中、日本は、何もしないで円安が
進むことに安堵している感じがします。

行き過ぎた円高も、円安も、日本経済には悪影響を
与えるのですが、日本は円安は良くて、円高
悪いと考えているようなので、しばらくは円安が
進むがままに放置していくのではないかと考えます。

米国で、トランプ氏が想定外の次期大統領に決まったように、
相場も想定外の動きが継続するのではないか、今までの経験則が
当てはまらない、そんな厳しい年になると考えています。