ドル、底堅い動きを継続か

今週の為替相場は、ドルが底堅い動きを継続か。

フランスや韓国などで大きな材料が出尽くし、
北朝鮮問題も懸念は残るものの、挑発的な姿勢は
今は見えていない状況です。

市場は、米国の6月の利上げを材料にしています。

これまでのFOMCで、米国のあと2回の利上げの可能性が
指摘されており、まずは6月の利上げを予想する声が出ています。

折に触れて、6月の利上げ観測がドルを買う材料になる可能性は強く、
その流れの中でドルは底堅い動きを継続するとみています。

また、日本の機関投資家も依然として国内に投資する先が
ないことで、対外投資の姿勢を強めています。

米国を始め、金利の高い国に対する債券の運用を強める姿勢を
次々に明らかにしており、こうした動きも円の軟調な動きに
つながるのではないかとみています。

この中、不透明なのはトランプ政権の問題です。

今回は、コミーFRB議長を突然解任し、この解任は
トランプ政権のロシア疑惑隠しとの見方が強まっており、
トランプ大統領に対する懸念が広がる可能性があります。

この動きは、ニクソン元大統領の例を取り上げる向きが多く、
大統領の信頼失墜の可能性も指摘されています。

この問題が、今後大きな問題になる可能性も予測されており、
継続するようなら、ドルに対する信認にかかわる可能性もあります。

このため、トランプ大統領の解任に正当性があるのか否か、
十分に留意する必要があると思います。

とはいえ、コミー前FRB長官が議会での証言を拒否するなど、
この問題を大きなものにする姿勢は避けているようです。

その意味では、トランプ大統領の解任は問題がないという結論が
強まる可能性があり、これでドルが大きく売られるリスクは
少ないとみることもできます。

この問題は、ニクソン元大統領の解任につながった
事件のように先の長い話になることも予想されます。

時折、この件が浮上した時の動きには注意が必要だと思います。

この中、6月の米FRMCでは、利上げの可能性が強まっています。

FRB高官も6月の利上げについては肯定的な見方を示しているので、
長期金利の上昇を睨んでドルが堅調な動きを見せるのではないか
とみています。

その場合、ドル円で見て115円が大きな壁になる可能性もあります。

このところのドル買いの材料が出ても、114円台がドルの上値と
なっていることを考えると、ドルが115円台を超えて上昇していくには
それなりの材料が必要になってくると思います。

その時に、日本の投資家による投資資金がドルに向かう
動きが大きな材料になると思います。

投資先を対外証券投資として意識している日本の機関投資家が、
続々と今年度の投資先を決めています。

その多くが外国債券投資の割合を高める動きを強めています。

ただ、以前の失敗から、為替リスクを避ける動きを強めていました。

最近では、為替リスクは極端に少なくなっており、為替リスクが
少ないのならと、対外証券投資の為替リスクに対して、
スキが出ている感じもします。

つまり、為替リスクに目を瞑って、対外証券投資に
のめり込む可能性があるのではないか、とみています。

対外証券投資に向かう資金が流れる(円売り)と、
ストレートに外貨買い・円売りという形で為替市場では
示されるのではないかとみています。

その動きがドルを支える強力な材料になるのではないか
とみています。

その動きに連動する形で、本邦輸入企業がドル買い・円売りを
持ち込むと、意外にあっさり120円台に乗せるような
ドル急伸・円急落が実現するのではないでしょうか。

その時期は、6月の米国の利上げの時ではないか、その時に
ドル買い・円売りが強まるのではないかとみています。

逆に、韓国大統領が親北朝鮮派で決まって以来、
北朝鮮から挑戦的な姿勢は少なくなっています。

その北朝鮮が再び挑戦的な動きを強めれば、
地政学的リスクが高まる可能性があると考えます。

韓国も米国も北朝鮮の懐柔策に飲み込まれる可能性が
過去に何度なくあったので、いきなり北朝鮮を攻撃する
という選択肢は少ないと思いますが、リスクが高まれば
とりあえず円買い、その動きは払拭されていないと思います。

また、フランスでは新大統領にマクロン氏が
決まりましたが、今度は議会選挙です。

少数派のマクロン支持派が、多数を占めることが
出来るのか否か、その結果次第ではフランス国内の
不安定さがユーロ売りにつながる可能性が少なくない
と考えます。

今は、地政学的リスクが少なく、リスク回避の円買いは
遠退いていますが、いつ何時、リスク回避の動きが強まる
可能性があることには留意が必要だと思います。

落ち着きの中にも、波乱の芽がある、それを肝に銘じて、
為替市場を見極めたいと考えます。

予想レンジは、
ドル円が108.20〜115.20円、
ユーロ円が118.20〜126.20円、
英ポンド円が140.20〜148.20円、
ドル円が78.20〜85.20円。