トランプ米大統領、パリ協定離脱表明

トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際枠組み
「パリ協定」が米国にとって著しく不公平であるとして、
離脱を表明しました。

世界2位の温室効果ガス排出国である米国が協定から
離れることで、対策が形骸化する恐れがあります。

地球規模の課題でリーダーシップを発揮してきた米国が、
国際的な信頼を失うことも避けられません。

米国の離脱表明を受け、ドイツ、フランス、イタリアは
共同声明で遺憾の意を表したほか、日本政府も「人類の
英知に背を向けた」と失望感をあらわにしました。

米電気自動車(EV)大手テスラのマスク最高経営責任者(CEO)は
強く抗議し、政権の政策助言機関メンバー辞任を明言し、
トランプ政権が国内外で孤立を深める事態が、現実味を
帯び始めています。

パリ協定からの離脱は、大統領選の公約でした。

トランプ大統領ホワイトハウスでの演説で、中国やインドなどに
比べ米国の負担が重いとし、「極めて不公平」と協定を批判しています。

パリ協定の否定は国家主権の回復に当たると主張して「米国第一」の
姿勢を前面に押し出しました。

その上で、オバマ前政権が打ち出した「2025年のガス排出量を
2005年比で最大28%削減する」との目標を撤回しました。

途上国の温暖化対策を支援する基金への拠出停止も表明しています。

トランプ政権は「公平」な条件や新協定を求めて再交渉に乗り出す構えも
示しましたが、国連気候変動枠組み条約事務局は2日声明を発表し、
政権と対話する姿勢を示しながらも、「一国の要請で再交渉はできない」
と指摘し、トランプ政権が得意とする一方的に圧力をかける「取引」に
クギを刺しました。