米欧の中銀首脳、金融規制、国際協調を訴え

米連邦準備制度理事会FRB)のイエレン議長と欧州中央銀行(ECB)の
ドラギ総裁は25日の米ワイオミング州ジャクソンホールでの
経済シンポジウムの講演で、大幅な金融規制緩和
貿易保護主義をけん制しました。

名指しは避けながらも、トランプ米政権が目指す規制緩和
「米国第一主義」が、世界経済のリスクになりかねない
との警戒感をにじませました。

イエレン議長は、2008年に深刻化した金融危機を受けて
導入された金融規制改革により、「金融システムは
大きく安定した」と成果を強調し、各国に波及した
危機の再発防止に厳しい規制は必要だと訴えました。

トランプ政権は、銀行に対する複雑で過剰な規制が負担になり、
経済成長の足かせになっていると批判し、規制緩和を公約に
掲げていますが、イエレン議長は、小規模銀行の負担軽減に
つながる一部の規制緩和には理解を示しているものの、
講演では「規制枠組みの見直しは緩やかに行うべきだ」
と述べ、広範な規制緩和にクギを刺しました。

一方、ドラギ総裁は同じシンポジウムで「保護主義
世界経済の成長に深刻なリスクをもたらす」と警告した上、
自由貿易をめぐる課題に対処する上で「多国間協調は極めて
重要だ」と訴えました。

トランプ政権は貿易赤字削減のため、相手国に一方的な
制裁措置をちらつかせて改善を迫る「米国第一」を
追求しています。

また、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱を
表明するなど、多国間協調に背を向けています。

ドラギ総裁は、世界を巻き込むリスクになりかねない
政権の姿勢を暗にたしなめた格好です。