米税制改革、ドルの後押しに

今週の為替相場は、ドルが上値を探る動きと
なることが予想されます。

年内の米国の利上げの可能性が強まる中で、
米国では2018年度の予算決議案が可決されました。

これで上院で過半数を握る共和党が単独で
税制法案を可決する環境が整ったことになります。

もちろん、今回の税制法案が可決されれば、
大幅な減税が実施され、財政赤字は再び巨額な
ものになります。

以前は、貿易と財政の双子の赤字が、ドルを
切り下げる要因になりましたが、今は、大幅な減税が
行われることで、米経済にとって、企業にとって
好循環が表れるとの声が多く、これが米経済を後押しし、
それがドルの買い材料になるとみられているわけです。

トランプ大統領が提案してきた法案は、議会からの
反対もあって、なかなか実施できませんでしたが、
予算案が通過したことで、大統領選挙中に約束した
減税の道筋が出来たようです。

また、今週はFRB議長の選任がヤマを迎えそうです。

トランプ大統領はイエレンFRB議長を好いていないようで、
FRB議長を後退させる考えを強く持っているようです。

この思いを実行するために、FRB議長の交代を
考えているようですが、既に何人か新しいFRB議長の
候補が決まっているようです。

安倍首相のように、アベノミクスを実行することが
日銀総裁に就任する条件などと、露骨なことは
言わないのでしょうが、それでもトランプ大統領
経済政策をフォローすることは求めてくると思います。

特に、FRBが金融界などに厳しい規制を課していることに
ついては、それを緩やかなものにしてほしいという願いは
あるようです。

金融界の規制緩和を行える人材と言うことになりそうですが、
市場は、そうした条件を付けられてFRB議長が決まることを
良しとするのか否か、注目したいと思います。

この中、欧州ではスペイン情勢が気掛かりです。

カタルーニャ州の独立問題が、欧州内に波及する
可能性があります。

また、中東ではイスラム国の拠点を失ったイスラム国の
動きも要注意です。

自分たちの場がなくなったことで、欧州でのテロが
強まる可能性が予想されます。

これまでのような大勢の人を狙ったテロではなく、
日常的にテロが行われる街が欧州各国で起こる、
そんな可能性もあります。

日常的にテロに襲われる、そんな不安が欧州で
強まる可能性があると考えるのです。

もちろん、そんな恐怖が強まれば、オーストリア
右翼政権が発足する可能性が強まったように、
他の欧州諸国でもイスラムと、あるいは難民を
排除する政権が続々と生まれる可能性もあります。

そのような社会的な不安定な状況が、金融市場に
与える影響は少なくないと思います。

アジアでは、北朝鮮問題が大きな比重を占めています。

北朝鮮がどのような手段で、米国と対峙するのか、
我慢しきれずに米国が先に手を出していますのか、
注目しています。

この中、中国では習体制がますます強固になっています。

個人崇拝はやめたはずなのに、習氏を崇拝する動きが
強まってきました。

これまでの集団指導体制が瓦解して、習氏の一強体制に
なるわけです。

どんな無茶をするか、これまでの中国の歴史を見れば、
明らかです。

北朝鮮以上に、軍備を持ち、世界で覇権を狙っている
習氏が世界の混沌の要因になるひは近いと思います。

そんな不安定な状況が続く中で、リスク回避の
ドル売りが持ち込まれる可能性があるかと思います。

足元はドルが上昇しても、上昇が一服した後、
ドルを買い続けることが出来るか否か、疑問です。

日本の総選挙の結果が金融市場にどの程度影響を
与えるか、基本的には何もないとみています。

予想レンジは、
ドル円が108.20〜115.20円、
ユーロ円が128.20〜136.20円、
英ポンド円が146.20〜154.20円、
ドル円が86.20〜94.20円。