材料模索の展開に

今週の為替市場は、大きな材料が重なる中で、
それぞれの材料を模索する動きが強まるのではないか
とみています。

今週は、6月12日にシンガポールで初の米朝首脳会談が行われ、
13日には米FOMC、14日にはECB理事会が、そして15日には
日銀の金政策決定会合が開催されます。

米朝首脳会談では、北朝鮮の非核化について、米国が
時間的猶予を与える可能性が強く、また朝鮮戦争終結宣言に
向けた前向きの話が進むとの見方が支配的となっています。

トランプ大統領が指摘しているように、「会うことが大事」
という首脳会談になる可能性が強まっています。

米国にとっても、北朝鮮にとっても、「会う」ことで、
北朝鮮を巡る緊張が一気に解消される可能性が強く、
この点については、ある程度は織り込まれた形と
なっています。

これが米国と北朝鮮が一気に平和条約を結ぶとなれば、
サプライズになりますが、将来的に会談を重ねるなどの
表現では、想定の範囲内となることが予想されます。

想定の範囲内の話に収束すれば、北朝鮮を巡る
リスク回避の動きは織り込まれているとの判断が強まり、
リスク回避=ドル買いという動きは続かないとみています。

一方、米欧日の三極の金融政策については、米国の
利上げの可能性が意識されています。

一部では、今回のFOMCFRBは利上げを決めるとの見方も
出ています。

好調な米経済を映して、利上げが妥当な判断とする声が
FRB関係者からも聞かれており、あと年3回の利上げを
意識すれば、今回、あるいは次回での利上げの可能性は
強いと考えます。

特に、これまで大きなリスクと言われていた北朝鮮情勢が
米朝首脳会談が実施されることで、大きく後退しており、
金融政策の自由度が高まっているとの声も出ています。

ただ、米国の利上げの可能性については、ある程度
織り込まれており、仮に利上げが実施されても、
噂で買われて、時事で売られる、そんな格言が
当てはまることになるかも知れません。

一方、ECBについては、欧州域内の経済の不透明感が
強まる一方、イタリアで反EU政権が誕生したことで、
利上げは足踏みとなっているとの見方が強まっていました。

こうした見方に対して、ECB高官は、超緩和策を
解除する動きは続いていると指摘する声が出ており、
市場では年内にも超緩和策の解除に向けてECBが
動き出すとの読みを強めています。

このような動きを受けて、為替市場では、金利差拡大で
売られていたユーロが買い戻される展開も見られており、
欧米の金利拡大は一度は織り込まれた状態となっています。

このように、今週は大きな材料はあるものの、その材料は
一度は市場に織り込まれた古い材料ということも考えられます。

新たな動きが出た場合には、それなりの動きが出ると考えますが、
想定内の動きでは、仮に米国が利上げを決めた場合には、
ドルを売るきっかけになる可能性もあります。

まずは、米朝首脳会談の行方、三極の金融政策の行方を
慎重に見極める展開が予想されることになりそうです。

予想レンジは、
ドル円が106.2〜112.20円、
ユーロ円が126.20〜133.20円、
英ポンド円が144.20〜150.20円、
ドル円が80.20〜85.20円。