日米貿易問題を意識へ

今週の外国為替相場は、9月の米利上げを
意識したドル買いと、トランプ米大統領
発言で暗雲が立ち込めている日米貿易問題が
意識される展開が予想されます。

先週末発表された米雇用統計で、非農業部門の
新規雇用者が堅調だったことや、
時間当たり賃金が好調な数字となったことを
受けて、9月の利上げは着実に実施される
との思惑が広がり、ドルは底堅い動きを
見せています。

トランプ大統領が対日圧力を強めた発言を
行ったとの報が流れた時には、ドルは
軟調に転じましたが、米国の利上げを
意識される展開となったことで、買戻しが
入っています。

市場では、目先は金利差を意識する展開
との見方に変化はありませんが、これまで
対中国、対欧州、あるいは対メキシコ、
対カナダなどとの貿易不均衡を訴えていましたが、
今度は対日の貿易不均衡を訴え始めたことで、
結果的に、為替市場では、ドル売り・円買いが
強まるのではないかとの思惑も出ています。

もちろん、為替の変動で貿易不均衡が
解消されるわけではありませんが、
目に見える形で貿易不均衡を是正するには、
為替の変動が避けられないのではないか
との見方も出ています。

以前のプラザ合意のように、米国が
双子の赤字に陥った時には、ドルの
価値を引き下げて、何とか双子の赤字
減少させたことがありました。

その時には、予想外の水準までドルが下落、
円が上昇した動きを見せましたが、結果を
秋の中間選挙を目指して、対日赤字を
解消するには、即効的な効果がある為替の
変動もトランプ大統領の頭の中には
あるのではないかとみています。

市場は、今は、それを額面通りには
受け止めていないとみていますが、
日米貿易問題がシリアスな場面を
迎えた時には、以前の繊維交渉や、
自動車部品の交渉などで示された
米国の圧力の強さには警戒したい
と考えています。

結局、米国の貿易赤字を解消するためには、
日本からの輸入を制限し、米国から
日本への輸出を増やす必要があるわけですが、
これはなかなか難しく、ドル安・円高
実現することが大事な要素になる可能性が
あるのではないでしょうか。

そのタイミングがいつになるのか、
中間選挙を考えると、時間の余裕はない、
そんな感じがするのですが、米政権を
支える人達が、トランプ大統領の強硬な
姿勢をどのように実現していくのか、
米政府高官の発言を注目したいと思います。

この中、日本では豪雨や地震で経済面での
マイナス要因が大きいのですが、懸念は
残されるものの、日本の底力が出てくるのか
否か、こちらも関心を持ちたいと思います。

経済面のマイナスをクリアできるような形に
なれば、日本の底力が円にとっては
プラス材料に働く可能性もあるかと思います。

いずれにしても、今週は米国発の材料を
メインに、日本発の材料も忘れずに
意識していきたいと考えます。

予想レンジは、
ドル円が106.20〜112.20円、
ユーロ円が126.20〜132.20円、
英ポンド円が138.20〜145.20円、
ドル円が76.20〜82.20円。