日銀の緩和策は市場を支援、経済活動への影響は不透明=IMF

国際通貨基金IMF)は20日、日本経済に関する報告書を公表し、
日銀による資産買い入れと固定金利による資金供給オペを通した
緩和策は、金融市場にプラスの影響を与えたとの見方を示した。

ただ、企業信用と経済活動に対する影響は
まだ明確になっていないとした。

IMFは、日本が受けた経済的な衝撃が、他の主要国に
どのようなスピルオーバー(波及効果)を及ぼすかを
分析した今回の報告書で、日銀の金融政策は、
日本国債利回りと株式収益性に対し若干の影響を
及ぼしたものの、企業信用と経済活動に対する影響は
まだ明確になっていないと指摘。

為替相場や海外市場に対しては
大きなインパクトは与えなかったと分析した。

また、日銀が資産買い入れ拡大による金融緩和を図った場合、
日本の長期金利は約50ベーシスポイント(bp)低下し、
日本以外の国の長期金利の1〜15bp低下につながる可能性があると予想。

市場環境の改善と投資家のリスク選好度の回復には、
日銀による実際の措置の導入や資産買い入れより、
むしろ新たな措置の発表が寄与したとの見方を示した。

日銀の資産買い入れについては、現在実施している
上場投資信託ETF)の買い入れに加え、
追加的な買い入れを実施した場合、日本の株価は10%以上、
世界的な株価は2〜6%上昇する可能性があると予想した。

日銀の資産買い入れはこれまでに日本国債利回り
15〜25bp低下に寄与したとしながらも、海外市場や為替相場には
実質的な影響は及ぼしていないとした。

また、日銀が向こう2年にわたり資産買い入れを継続した場合、
3年にわたり日本の経済成長率を毎年平均で
0.5%ポイント押し上げる効果があると試算。

ただ、諸外国の経済成長率への寄与度は
0.1%ポイント以下にとどまるとした。