ドル安・ユーロ安は変わらないか

今週の為替相場は、ドル安・ユーロ安の流れに変化がないと見ています。

米国は8月2日が債務上限引き上げの期限を迎えます。

現状では、米政府と議会の一致が見られていない状況で、8月2日の期限を目前にして、米国のデフォルト懸念が強まっています。

結果として、8月2日までには何らかの形で、債務引き上げ上限が決まるものと見ています。

とはいえ、政府と議会のチキンレースはギリギリまで続くものと見ており、その動きを見ながら、ドル売りに弾みがつく動きが想定されます。

また、発表された第2四半期の米GDP速報値が市場の予想を大きく下回ったことで、米経済に対する懸念が市場には強まっています。

今週は雇用統計が発表されますが、劇的な改善が見込まれないことで、悪化していれば素直にドル売りに、横ばいでもドル売りに傾く動きが想定されます。

これまで、米経済改善を睨んで、ドル、株が上昇してきた反動で、米経済の悪化が鮮明になれば、ドル売り、株売りに加速がつく可能性が出ています。

この中、債務引き上げ上限で一致しても、米国の膨大な財政赤字問題が市場には材料視されるものと見ており、ドル売り、株売りの流れには変化がないと見ています。

一方、欧州では、ギリシャ問題は再支援が決まったものの、それがユーロ圏に与える影響が大きいことなどが蒸し返され、ユーロも軟調な展開が予想されます。

特に、ギリシャ再支援が決まる動きが出てきた中で、ユーロを買い戻す動きが強まっていた反動が出るのではないかと見ています。

ユーロ圏にとって、ギリシャ債務問題は、パンドラの箱とも見られており、これを開けてしまったことで、その余波がまだまだ続くものと見ています。

これに対し、円は本当はバタバタです。

東日本大震災、政治の混迷、さらに足元では、新潟・福島の洪水と、国土はメチャクチャな状態です。

本当なら、円は買えない通貨の筆頭になるのですが、欧州債務危機では、日本の金融機関の関与度合いが低いことなど、日本がユーロ危機、ドル危機の影響はあまり受けないと見られていることが、円の上昇に繋がっています。

円の上昇に、日本国内から厳しい指摘がされていますが、米欧では、円の上昇について、何の発言も出ていません。

結局、仮に介入があるとしたら、日本だけの単独介入で、米欧は介入を控えるのではないか、そんな思いで見ています。

今週は大きな節目である1ドル=75円を超える円高があるのか、ないのかを慎重に探っていくものと思います。

万一、75円を超える円買いが持ち込まれると、次の焦点は70円超えとなると見ており、日本がどこまで円高阻止の姿勢を見せるのか注目されます。

予想レンジは、ドル円が73.20〜80.20円、ユーロ円が106.20〜113.20円、英ポンド円が120.20〜130.20円、豪ドル円が78.20〜86.20円。