一部の欧州銀のドル調達コスト上昇、米当局は国内行と密接に連絡
欧州債務危機を背景に、一部の欧州銀行の
ドル調達コストが上昇している。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、
欧州債務危機が米金融システムに波及するとの懸念から、
連邦準備理事会(FRB)が欧州の銀行の米国部門に
対する監視を強めていると報道。
欧州中央銀行(ECB)は前日、期間1週間のドル供給オペを実施、
ユーロ圏の銀行1行に5億ドルを供給した。
ユーロ圏の銀行がECBのドル供給オペで
資金を調達したのは2月以来初めて。
3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は前日の
0.29589%からさらに上昇して0.29778%。
4か月半ぶりの高水準となった。
LIBOR算出対象行の欧州銀行11行のうち、
6行はLIBORよりも高い金利を払っている。
英銀大手バークレイズとロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は
18日の3カ月物ドル調達金利が0.3400%だったことを明らかにした。
これは農林中金の0.34500%に次ぐ高い水準。
仏銀行大手のソシエテ・ジェネラルとクレディ・アグリコルの
3カ月物ドル調達金利はそれぞれ0.32500%、0.33000%で、
LIBORを上回っている。
BNPパリバは0.29500%でLIBORを若干下回った。
アナリストによると、北欧の銀行の3カ月物ドル調達コストは
仏銀を0.15〜0.30%ポイント下回っており、欧州のすべての銀行が
リスクが高いと認識されているわけではないようだ。
FRBが18日発表した週間統計では、外国の銀行が
米コマーシャルペーパー(CP)の発行を
減らしたことが明らかになった。
欧州債務危機に対する懸念が強まる中、投資家が
CP保有に消極的になっていることが浮き彫りとなった。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、WSJ紙の報道について、
FRBは銀行を「常に注意深く調査」しており、米銀と欧州銀を
「全く同様に」扱っているとコメントした。
米財務省・ニューヨーク連銀と金融機関の協議に詳しいある関係筋によると、
ニューヨーク連銀と米財務省は、欧州の銀行にエクスポージャーのある
すべての国内銀行と緊密に連絡を取り合っており、国内行に対し、
欧州銀のカウンターパーティーリスクを
あらゆるレベルで見直すよう指示している。
米国の2年物スワップスプレッドは26.75ベーシスポイント(bp)と、
1週間半ぶりの大幅上昇となった。
スプレッドの拡大は、カウンターパーティーリスクの高まりを示す。