為替市場に頻繁に介入せず、円が逃避通貨となる理由ない=中尾財務官

財務省の中尾武彦財務官は19日、日本には為替市場に頻繁に
介入する計画はないと述べる一方、投資家が円を逃避通貨として
扱う理由はないと指摘した。

中尾財務官はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙との
インタビューで、円の最近の上昇は経済のファンダメンタルズを
反映しておらず、円上昇を見込んだ「投機的要因」
によるものとの見方を示した。

財務官は「われわれには頻繁に介入する計画はない。
介入を日常的手段として用いない」と述べた。

財務官はまた、必要ならば引き続き適切な措置を講じる用意が
あるとしたが、円を特定の水準に誘導する計画はないとした。

8月4日に単独介入に踏み切ったことについては、少なくとも
投機抑制に向けた当局の意思を明確に示すことができたと述べ、
介入の正統性を主張した。

財務官は欧米諸国が介入を支持したかは明らかにしなかったが、
今後の単独介入の可能性については排除しなかった。

一方で、単独か協調かにかかわらず、介入については
他国と協議する必要があるとの認識を示した。

米景気減速や欧州債務危機をめぐる懸念を背景に、
安全資産と見なされる円・スイスフランに資金が
逃避する構図が継続しており、円は介入後も
過去最高値近辺で推移している。

これに対し財務官は、大規模債務と人口減に苦しむ
日本の円が質への逃避先として選ばれる理由はないと指摘。

これに加え、日本経済は依然として
東日本大震災からの復興に苦戦しているとした。

景気減速や財政赤字をめぐる懸念から、対円で年初来およそ
6%下落しているドルについては、世界の基軸通貨としての
ドルに対する脅威は目先見られないと言明。

予見できる将来において、ドルは唯一の重要な
基軸通貨であり続けると確信しているとした。

前月米議会が承認した財政赤字削減計画については、
債務削減に向けた非常に具体的な措置を
盛り込んでいるとして評価する姿勢を示した。