イタリア政府が富裕層への増税撤回、改革後退の恐れ

イタリア首相府は29日、2013年の財政均衡化を目指す
財政改革計画をめぐり、当初案に盛り込まれていた
高所得者層に対する増税を撤廃するとともに、
地方政府への支出削減幅を縮小すると明らかにした。

この日行われたベルルスコーニ首相と
主要閣僚との会合後、声明が発表された。

ただ変更に伴う改革への影響や不足分をどのように
補うかなどの詳細については明らかにされていない。

メディアが広く取り上げていた付加価値税(VAT)引き上げの
可能性についても言及しなかった。

政府は当初、高所得者層に対する増税で2013年までに
20億ユーロ超の税収を見込んでいた。

税収の落ち込みを補うため、民間保有資産を対象とした
脱税取締り強化などの措置に言及したが、具体案は示さなかった。

また地方政府への支出を2013年までに92億ユーロ削減する
方針だったが、声明では最終的な地方政府への影響は
当初案よりも緩やかになるとしている。

財政改革をめぐっては、労働組合や支出削減により
影響を受ける地方政府など、多方面から激しい反発の声が上がっていた。

また連立を組む北部同盟は、年金支給開始年齢の引き上げに
強く反対しており、政権内の亀裂も深まっている。