為替介入枠15兆円の拡大指示、「必要なら断固行動」=安住財務相

安住淳財務相は30日朝の閣議後会見で、2011年度第3次補正予算で、
為替介入の原資となる政府短期証券(FB)の発行限度額を
15兆円引き上げるよう指示したことを明らかにした。

同時に、為替市場動向を監視するため主要金融機関に課している
持ち高の報告義務を、12月末まで延長する方針も示した。

財務省によると、FBの発行限度額は現在150兆円で、
8月末段階の発行残高は119兆円。

3次補正が成立すれば、今後の為替介入の原資は
現在の31兆円から46兆円と過去最大規模に膨らむ。

いわゆる介入枠の上限を引き上げるのは、
昨年末に策定した11年度の本予算以来。

8月に導入した円高対応策で、9月末までとしていた
持ち高報告の期間も12月末まで延長する。

財務相は「足元で一方的に偏った円高の動きが続いている。
日々の為替市場のモニタリングをする上で極めて
有益なひとつの情報」と延長の背景を説明。

こうした対策を通じて「為替市場のモニタリング強化を図り、
機動的に投機的な動きがないか監視していくとともに、
あらゆる措置を排除せず、必要な場合には
断固として行動していく」方針を示した。

財務相はドルが76円台で推移する現在の為替水準に関し
「日本経済の上昇志向に冷や水を浴びせかねないレート。
ここに投機的な動きが加わるのは何としても防がないといけない」と表明。

「機動的に断固たる措置を取るのに、十分な対応を
するため措置を指示した」と説明した。

さらに財務相は、フィンランドに続き29日に独連邦議会
欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能拡充法案を可決したことに言及。

ギリシャ救済のスキームが固まってきた。欧州が市場に安心感を
持たせることが、為替の適正化に大きく役立つ」と評価した。

その上で「ギリシャに対する市場の見方は大変厳しく、
底の抜けたバケツのような状態ではないかとの不信感がある」として、
一義的には欧州当局による対策が不可欠との認識を重ねて示した。

一方、東日本大震災からの復興財源とする増税案については、
国会提出の増税規模を11兆2000億円とする方針を表明。

政府与党は28日に「段階を経て」9兆2000億円とすることで
合意しているが「5年の集中復興期間で税外収入による財源確保、
となると5兆円程度なので、それを前提に時限的な税制措置を
講じることになる」と説明した。

将来的な日本郵政の株式売却には、売却準備が整った段階で
「収益性がかなり見込まれ優良株になっていれば、
数兆円のねん出を当て込むことはできる」と見通した。

今後の与野党協議に関しては「相当大変だと思う。プロセスは
党と相談するが、できるだけ速やかに国会に出して
成案を得たい」と述べるにとどめた。

2012年度予算の概算要求については「中期財政フレームをしっかり守り、
国債発行額を押さえる中で、これから知恵と工夫で
効果的な予算編成をやっていきたい」と抱負を述べた。