日銀とタイ中銀が日本国債担保にバーツ供給へ、洪水受け早期公表

日銀は25日、タイ中央銀行と共同で日本国債を担保とした
現地通貨バーツの資金供給策を検討していると発表した。

金融市場安定のため資金供給手段の拡充を狙うタイ側と、
アジア拠点としてタイへの進出を加速したい
日系企業や邦銀の狙いが一致した。

日本・タイ両中銀は昨年より協議を進めていたが、
タイ洪水を受け早期公表に踏み切った。
今後制度の詳細を詰める。

この制度は、金融機関が日本国債を担保として
日銀のタイ中銀の口座に差し出し、タイ中銀が
同金融機関に対してバーツを供給する仕組み。

邦銀のみならず、タイの金融機関も活用できる。

日銀では1999年から、英中銀と相互に国債
担保として受け入れる同様の仕組みを作っている。

同日会見を行った日銀決済機構局によると、
「目的は金融市場安定だが、洪水対応にも有効」。

金融市場の規模が小さく資金調達手段に限りがあるタイ側と、
多数保有する日本国債を海外での事業展開につなげたい
邦銀などの動きを背景に、昨年から協議を続けてきたという。

なお、現状ではタイの日系企業や金融機関の資金繰りが
厳しい状態ではないが、日銀としては
「先行きは慎重にみている」という。

日銀側は、昨今の欧州発金融不安と今回の仕組みの関連を
否定しているが、欧州銀のアジアなど新興国からの
引き揚げを受けて、邦銀は海外進出の機会を模索しており、
日銀が側面支援する形ともなりそうだ。

日銀は欧州不安の新興国への波及が日本経済の失速を招くことを
懸念しており、今月19日には政府と共同で韓国との
通貨スワップ(交換)協定の増額を発表するなど、
各種セーフティネットの構築を検討している模様。