乗用車国内生産は6社が前年割れ、タイ洪水は時間差で影響も

乗用車メーカー8社が26日まとめた9月の国内生産実績は、
トヨタ自動車、スズキを除く6社が前年同月比マイナスとなった。

主に前年水準が高かったことが原因で、東日本大震災
影響はほとんどのメーカーでなくなっている。

タイ洪水が国内生産に与える影響については、
部品調達に支障が出る可能性があるとして
トヨタが残業を取り止めている。

その他、タイ製部品を採用しているメーカーは
今のところ在庫で対応できているが、洪水被害が
さらに長引けば影響がでてくる可能性もある。

9月の国内生産はトヨタが前年同月比1.2%増の
30万9389台、スズキが同3.3%増の10万1261台となった。

前年実績を下回った6社はエコカー補助金終了前の駆け込み需要や
投入前の新型車の増産で前年水準が高かったことなどが影響した。

海外生産はトヨタのほか、日産自動車、ホンダ、富士重工業
ダイハツ工業が9月単月として過去最高の台数を記録。

国内生産が堅調だったトヨタ、日本以外の全地域で伸びた
日産自は世界生産でも9月として過去最高の台数となった。

ホンダは中国での生産が好調に推移しているほか、
上期の生産遅れの挽回に入った北米が7カ月ぶりに増加に転じた。

一方、スズキの海外生産は前年同月比13.2%減となり
9月として過去最大の落ち幅を記録した。

インドのマネサール工場で
労働争議が影響し、フル生産できなかった。

10月以降、タイの洪水の影響で
現地の車両生産に被害が広がっている。

ホンダは四輪車工場が浸水により生産不能となっているほか、
自社工場に直接被害のないトヨタ、日産自、マツダ
三菱自動車も部品調達が滞り操業停止を余儀なくされている。

各社、9月はタイ工場をフル生産に近い状態で操業しており、
10月以降の生産実績にも影響してくるとみられる。

タイにおける9月の生産台数は、トヨタが7万0661台
(9月世界生産実績の9.6%)、日産自が約2万台(同4.5%)、
ホンダが2万1700台(同8.9%)、三菱自2万3699台(同21.8%)、
マツダ8278台(同7.3%)だった。

タイの洪水の影響は
タイ以外の国での生産にも波及している。

トヨタインドネシア、フィリピン、ベトナムの各工場で
稼働日数や生産シフトを減らしているほか、日本国内でも
10月24日から同28日まで国内4つの車両工場で残業を取り止める。

現在、国内生産に影響が出ていないが、ほとんどのメーカーが
タイから調達している部品がある。

富士重は、タイに直接的な取引先はないものの、
2次、3次サプライヤーがタイで生産している部品があり
「時間差で影響がでてくる可能性がある」(広報担当者)としている。