野田首相が所信表明、産業空洞化に「あらゆる手段講じる」

野田佳彦首相は28日午後の衆院本会議で所信表明演説を行い、
歴史的な円高に伴う産業空洞化の危機に懸念を示し、
空洞化の事態を防ぐため、「日銀とも連携して、
円高自体への対応を含め、あらゆる政策手段を
講じる」との決意を語った。

外交面では、11月3日、4日にフランスで開催される
20カ国・地域(G20)首脳会合で「欧州発の世界経済危機の
封じ込めに日本としての貢献を示す」と表明。

懸案の環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加については、
しっかり議論し、「できるだけ早期に結論を出す」
と述べるにとどめた。

野田首相は、1)被災地の復興、2)原発事故の収束、
3)日本経済の立て直し、を大きく加速させるために、
一日も早い第3次補正予算と関連法の成立が不可欠とし、
改めて「国家国民のための大仕事を共に
成し遂げようではないか」と野党に協力を訴えた。

野党となお隔たりがある財源確保をめぐっては、
「まず何よりも、政府全体の歳出削減と税外収入の
確保に断固たる決意で臨む」と述べ、公務員給与引き下げ法案の
早期成立を求めたほか、公務員宿舎の抜本的見直しに取り組む考えなどを強調。

税外収入確保では「郵政改革関連法案の成立を期した上で、
日本郵政JTの株式など、売却できる政府資産は売却し、
あらん限りの税外収入をかき集める」と述べた。

また、経済成長を通じた「増収の道」を追求し、新設した
「国家戦略会議」で年内に日本再生の基本戦略をまとめ、
新産業創出や世界の成長力の取り込みを
一層推進すると改めて語った。

その上で野田首相は、歳出削減と増収でも足りない部分について
「初めて歳入改革の道がある」と説明。

復興財源案では、「基幹税である所得税法人税
個人住民税の時限的な引き上げなどにより、
国民に一定の負担をお願いする」と臨時増税への理解を求めた。

復興財源確保のために臨時増税も避けて通れない事情について
野田首相は、「国家の信用」が問われている欧州の危機は
対岸の火事とは言い切れない」と述べ、「復興財源の確保策を
実現させ、未来の世代の重荷を少しでも減らし、『国家の信用』を
守る大義を共に果たそうではないか」と訴えた。