ユーロ圏、恒久救済メカニズムからの民間関与除外を討議=EU高官

ユーロ圏加盟国は、2013年に導入される予定の
恒久的な救済メカニズムである欧州安定メカニズム(ESM)から、
民間関与を除外することを検討している。
複数の欧州連合EU)当局者が25日明らかにした。

民間関与除外をめぐっては、政規律強化に向けた
EU基本条約の改正をめぐる広範な協議の一環として、
討議されているという。

当局者の1人はロイターに対し「フランス、イタリア、スペイン、
そしてすべての周辺国」が民間関与の除外を支持している一方、
「ドイツ、フィンランド、オランダは反対している」と語った。

国債再編に伴う損失を民間セクターに負担するよう求めることで、
ユーロ圏ソブリン債に対する市場の信頼性が損なわれていることが
懸念されており、ESMの規定から民間関与に関連した
条文が除外されれば、市場心理は改善される可能性があると、
多くのユーロ加盟国はみている。

別の当局者は、ESMでの民間関与維持を求めるドイツの主張は
弱くなっているとし、過半数の債券保有者が受け入れた債務再編が
他の少数にも適用される包括的行動条項(CAC)は
規定から外されるとの見方を示した。

ドイツ当局者は、駆け引きが行なわれているとの見方を
否定しているが、他の加盟国当局者は、合意が形成されつつあり、
ドイツは求めている条件に対する確約が得られれば、
動くだろうとの見方を示した。

ユーロ圏財務相は29〜30日にブリュッセル
会合を開き、ESMについて協議する。
CACの扱いについても検討される見通し。

加盟国の大半が、民間セクター対する救済コストの
強制的な負担にこだわらない一方、一部加盟国は依然として、
金融機関による負担を確保するべきとの立場を変えていない。

オーストリアの野党、緑の党は、ESM規定に
CAC条項が含まれるべきと主張している。

同国政府がESMに対する議会の
承認を得るには、同党の支持が必要。

ESM規定の変更は各国議会が
批准し加盟国全てが承認する必要がある。

緑の党が反対の立場を示していることは、
規定変更が難しくなることを意味する。

ドイツを含む一部の国は、ESM導入を来年7月に
前倒しすることを求めているが、ESMの規定をめぐって
意見が分かれていることから、導入が遅れる可能性がある。