消費税増税、「2014年4月に8%、2015年10月に10%」で決着

民主党税制調査会は29日深夜、社会保障
税の一体改革に伴う消費税率の引き上げについて、
「2014年4月に8%、2015年10月に10%とする」ことで決着した。

増税への反対意見が根強く、当初原案で示した
増税時期を半年先延ばしして、了承を取り付けた。

合同総会終了後会見した藤井裕久税調会長は、
政務調査会も了承したことを明らかにし、
党として一体改革の税制部分の素案が決定した。

消費税引き上げをめぐっては29日の合同総会も、
根強い反対論で大荒れとなった。

途中からは野田佳彦首相も会議に出席し異例の協力要請をしたが、
反対派は納得せず、増税慎重派に譲歩することで合意を取り付けた。

3月末までに消費税増税関連法案を
国会に提出し、成立を目指す方針も確認された。

ただ、修正案に抗議して、山田正彦前農相ら数人の議員が
途中退席するなど、首相への反発は強まっている。

28日には消費増税に反対する
衆議院議員9人が離党届を提出した。

迷走の末、消費税増税案をまとめ上げたが、
野田首相政権運営は一段と厳しさを増しそうだ。

増税時期を当初案の「2013年10月8%、2015年4月10%」から
半年ずらしたことで、政府が掲げる財政健全化目標の達成にも
影響を及ぼしかねない。

当初案で10%への引き上げ時期を「2015年4月」とした根拠について、
これまで民主党税調執行部は、これにより、2015年度までの
基礎的財政収支プライマリーバランス)の対GDP比赤字半減目標を
達成させることが出来るためとしてきた。

古本伸一郎事務局長は終了後の会見で、今回の増税時期の修正で
「赤字半減(目標)に少し影響が出る」ことを認めながらも、
新成長戦略などによる経済成長に伴う税収増や歳出削減など
あらゆる手立てで補うと説明。

「2015年度の基礎的財政赤字半減目標は必ず達成させる」と述べ、
財政健全化の取り組み姿勢に揺るぎがないことを強調した。

増税時期を半年ずらした理由については、消費税率引き上げを
実施する半年前には法案の閣議決定が必要になり、2013年10月に
引き上げを実施する場合には、同法案の閣議決定衆議院議員
任期満了(2013年8月)前となるため、マニフェスト違反に
なるとの増税慎重派の主張を取り入れた結果だと説明。

10%への引き上げ時期についても、システム対応などで
引き上げの間隔は1年以上とる必要があるとの判断から
同様に半年ずらしたと説明した。

このほか、合意した税制抜本改革案では、消費税引き上げを
実施する際の景気弾力条項について「経済状況などを総合的に勘案し、
消費税引き上げの停止を含め所与の措置を講じる規定を
法案に盛り込む」ことを明記。

景気情勢次第では執行を停止する条項を設けるが、
その判断に具体的な数値は盛り込まなかった。

また、単一税率を維持し、食料品などに
複数税率を設けることは今回は回避した。

一方、消費税の逆進性対策では
「給付付き税額控除」の導入も盛り込んだ。

増税慎重派が消費税増税の前提と主張してきた
行政改革・政治改革では、国民に増税の理解を得るため、
国会議員定数や国家公務員給与の削減の着実な実施を明記する。