日銀が米景気見通し半信半疑で上方修正、バブル後の日本と二重写し

日銀は23、24日の金融政策決定会合後の公表文で米国経済について、
これまで同様住宅バブル崩壊によるバランスシート調整の影響を指摘した一方で、
「このところ一部に底堅い動きもみられている」との文言を追加した。

昨年末以降の堅調な米国の経済指標や株価上昇が判断の背景とみられるが、
日銀内では米国がサブプライム問題の重しから完治したとの意見は少なく、
米景気の回復が長続きすると確信している訳ではないようだ。

白川方明総裁は会合後の記者会見で、米経済の現状について
「良好な企業収益を背景に設備が増加、自動車販売が増加し
クリスマス商戦が堅調に推移するなど明るい面もみられている」とし、
「ひところの悲観的な見方は後退している」と指摘した。

先行きについては、緩和的な金融環境や雇用の緩やかな増加、
インフレ率低下などが景気を下支えすると指摘した一方、
米市場は「2009年のリーマン・ショック後、何回か
楽観と悲観を繰り返しており、日本のバブル崩壊以降と
同様だ」との見方を示した。

米国は12月の雇用統計(季節調整済み)で失業率が前月比0.2ポイント低下し、
8.5%と2009年2月以来2年10か月ぶりの低さに改善した。

1月のニューヨーク州製造業業況指数も2011年4月以来9カ月ぶりの
高水準となり市場予想を上回るなど、堅調な指標の公表が相次ぐ。

市場では、個人消費や製造業の堅調さから雇用回復が進み
米経済の先行き懸念が薄らぐとの認識が広がりつつある。

しかし日銀内では、米国は景気それ自体よりも、
景気認識に周期性がある、との見方が主流。

統計的に誤差も多い経済指標の小さな下振れが突然の契機となり、
市場認識が一変、株安・ドル安を通じ円高圧力が再燃する可能性を懸念する。

欧州ソブリン問題が深刻化した場合の米金融機関への影響の程度など、
米経済をめぐる不透明要因は多い。

なお、今月12日に来日した米国の財務長官は都内で、
政府要人の誰よりも長い時間をかけて白川総裁と昼食を共にした。

会談内容は極秘とされているが、白川総裁と、電話で常日ごろ
情報交換する関係とされるガイトナー長官との間で
どのようなやり取りがなされたのか注目される。