米大統領が一般教書演説、富裕層の税負担拡大求める

オバマ米大統領が24日に行った一般教書演説は、
11月の大統領選挙を控えて中間層に配慮した内容となり、
富裕層の税負担拡大を求めたほか、金融機関への批判を強めた。

大衆迎合的色彩が濃くなった演説で大統領は「ウォール街
自らのルールに基づいて行動することが容認されていた日々に
戻ることはない」と明言。

また「億万長者への補助金をワシントンは止めなければならない」と述べ、
富裕層に30%の最低実効税率を求め、配当収入やキャピタルゲインに対する
課税の抜け穴を防ぐよう求めた。

大統領は住宅ローン負担軽減策の拡充も提案、現在の返済中の
住宅保有者への負担軽減策を拡大するよう議会に要請するとした。
これにより年間で1家庭あたり3000ドルの節減につながるという。

住宅危機を悪化させたとして大統領は金融機関を非難し、
銀行課税を財源とするよう提案した。

大統領は演説で「毎日ルールに従って賢明に働き、行動している
多くの米国民は、同じ政府や金融システムの恩恵を受ける権利がある。
トップから底辺にいる人まで、同じルールを適用すべき時がやってきた」
と述べ、「バフェット・ルール」と呼ばれる富裕層への
増税を含めた税制改革を打ち出した。

法人税改革も打ち出し、企業が国外であげた利益への課税のほか、
雇用を国内に戻す企業には税額控除する方針を示した。

対中国問題では、政府内に
新た通商担当部局を新設することを提案。

米軍のイラク撤収やアフガンでの縮小などでの経費削減分
(議会予算局の試算で2012〜2021年に4400億ドル)については、
半分を債務返済に、残りをインフラ整備に充てるよう求めた。

議会は民主・共和両党のねじれ状態のため、一般教書演説による
こう着状態の打開は見込み薄だ。年内は大統領選挙を控え、
税制が与野党が鋭く対立する問題となっている。

今回の一般教書で打ち出された提案も、
雇用回復への即効策とはなりにくい。

ただ、大統領は議会での障害を認識しており、側近によると、
景気回復を阻害しているのは共和党の姿勢だと印象付けることで
再選に向けた得点稼ぎの思惑がある。