IMFが世界経済成長予想を大幅下方修正、日本は1.7%に

国際通貨基金IMF)は24日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表し、
2012年の世界経済の成長予想を9月時点の4%から3.3%に大きく下方修正した。
2013年については3.9%に加速するとの見通しを示した。

欧州債務危機は深刻化しており、世界の景気回復の腰折れを
招く恐れがあるとの認識を示し、早急に信頼感を回復するよう求めた。

欧州の指導者が危機の悪化を食い止めなければ、今年の成長率は
さらにおよそ2%ポイント下振れする恐れがあると警告した。

IMFの首席エコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は記者会見で
「すでにぜい弱な世界の景気回復が腰折れする危険がある」とし、
欧州の危機がさらに深刻化した場合、「世界経済が再度リセッションに
突入する可能性がある」と述べた。

ユーロ圏の2012年成長見通しはマイナス0.5%とし、債務危機発生後、
初めて緩やかなリセッション(景気後退)に陥る可能性が高いとした。
2013年は0.8%のプラス成長に転換する見通しとしている。

IMFは「ユーロ圏における緊張の高まりや、他の地域のぜい弱さにより、
世界経済の回復が脅かされている」と指摘。

「信頼感を回復することと、成長支援を行う一方で、調整を持続させ、
レバレッジを抑制し、一段の流動性供給や金融緩和を実施することで
ユーロ圏の危機を収束させることが喫緊の政策課題だ」と分析した。
2012年の米経済成長見通しについては1.8%で据え置き。

日本は2.3%から1.7%に下方修正した。

先進国全体の成長率については、2012、2013年は平均で1.5%とし、
失業率の大幅な押し下げには不十分との見方を示した。

IMFはまた、欧州債務危機がさらに深刻化した場合、
米国をはじめとする先進国はその影響から逃れられないとし、
「米国など先進国は、ユーロ圏危機悪化の影響を受けやすく、
また政治的障害の克服など国内問題も抱えている」と指摘した。

新興国については、2012年の成長率を5.4%とし、
従来予想の6.1%から大きく引き下げた。
その上で景気支援に向けた政策に注力するよう新興国に促した。

中国については2012年成長予想を9.0%から8.2%に下方修正。
ただ2013年には8.8%に回復するとの見方を示した。

アジア全体では、2012年の成長予想を8%から7.3%に引き下げた。

またユーロ圏と関係の深い中東欧地域はとりわけ
成長減速が著しい公算が大きいとし、2012年の成長見通しを
2.7%から1.1%に引き下げた。
2013年は2.4%に回復する見通しとしている。