米FRBが2%のインフレ目標導入、毎年1月に見直し

米連邦準備理事会(FRB)は25日、
2%のインフレ目標を導入すると発表した。

長らくインフレ目標の導入を提唱していたバーナンキ議長の意向が
実現した格好で、これによりFRBは歴史的な一歩を踏み出した。

今回初めて発表された「長期の目標及び政策戦略」に
関する声明で明らかにした。

FRBはその中で、雇用市場は総じて金融の要因による影響を受けないとし、
雇用に関する一定の目標を掲げることは不適切とした。

2%のインフレ目標は、長期的にFRBの責務と最も整合するとし、
長期のインフレ期待を「しっかりと抑制する」としている。

目標は、個人消費支出(PCE)価格指数の前年比伸び率を目安とする。

声明は「インフレ目標を公にすることで、長期インフレ期待を
しっかり抑制することができる。これにより、物価安定と
長期金利の抑制が促進され、経済が大幅に阻害された時に、
雇用の最大化を推し進めるFRBの能力を高めることができる」とした。

米国では、物価安定のためにインフレ目標を設定することで、
FRBのもう1つの責務である雇用最大化の促進がないがしろにされる
との懸念が特に民主党議員を中心に出ていた。

こうした見方に対しFRBは、FRBの政策決定は「雇用最大化の
水準の評価を通して知らしめる必要がある」としながらも
「こうした評価は、必然的に不確定的で、修正される可能性を
はらんでいる」との認識を示した。

FRBは毎年1月に「長期の目標及び政策戦略」
声明を「適切に調整する」としている。

FRBは今回の連邦公開市場委員会FOMC)声明の発表に合わせ、
初めてFRB政策担当者による金利水準の予想などを公表。

インフレ目標は政策担当者の金利水準予想と同時に公表された。

FRBが超低金利を2014年終盤まで長期化、追加緩和検討に含み
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は25日、
連邦公開市場委員会FOMC)後の会見で、
追加緩和を検討する可能性を示唆した。

FRBは同日発表したFOMC声明で、少なくとも2014年終盤まで
政策金利を異例の低水準に据え置く方針を表明。

景気てこ入れに向け、利上げ時期の見通しを
これまでと比べ大幅に後ずれさせた。

今回初めて発表した「長期の目標及び政策戦略」に関する声明では、
透明性向上の取り組みとして、2%のインフレ目標
導入することを明らかにし、歴史的な一歩を踏み出した。

議長は、高失業率の解消につながる場合、インフレ率が
目標の2%を上回ることを容認する可能性も示唆。

このところ回復の兆しが出ている
国内経済には慎重な見方を示した。

議長は「現時点で、米経済が力強い新局面に入ったと
宣言する用意はできてない」と発言。

「景気回復が腰折れした場合や、インフレ率が目標に向かわない場合、
その方向で追加措置を講じる用意はできている。これは明らかに
検討されている選択肢だ」と指摘した。

FRBは今回インフレ目標を導入することも明らかにした。

「インフレ率2%が長期的にFRBの責務と最も整合する」と表明。

目標は個人消費支出(PCE)価格指数の前年比伸び率を目安とする。

雇用に関する一定の目標を掲げることは不適切との認識も示した。

FRBはまた、各政策当局者によるフェデラルファンド
(FF)金利予想も初めて公表した。

当局者の予想は幅広く分かれ、17人中3人が年内の利上げを
予想した一方、2016年まで利上げを見込んでいない当局者が2人見られた。
ただ、2014年ごろを利上げ開始時期と予想する見方が大勢となった。

事実上のゼロ金利がこれまでの想定よりも少なくとも
約1年半長期化するとの観測から、米国債は大幅に上昇、
株価もプラスに転じた。

FRBは米経済について、「著しい下方リスク」に直面している
との認識を改めて示したが、近く国債の追加買い入れに
踏み切る可能性はほとんど示唆しなかった。

2012、13年の経済成長見通しは、
昨年11月の予想から若干引き下げた。

ただ、金融政策において「非常に緩和的)」なスタンスを
維持する方針を示し、経済状況により「FF金利を少なくとも
2014年終盤まで異例の低水準とすることが
正当化される可能性が高い」とした。

FRBは昨年8月のFOMC以降、2013年半ばまで
金利を据え置く可能性が高いと表明してきた。

FRBは物価の見通しについて以前よりも楽観的になっているとみられ、
今回の声明では「引き続きインフレとインフレ期待の推移を
注意深く見守っていく」との文言を削除した。

声明は、利上げ時期の見通しを大幅に後ずれさせた以外は、
前回12月中旬のFOMC声明をほぼ踏襲した。

失業率については「高止まり」していると指摘。

企業の設備投資については若干表現を修正し
「減速」しているとの見方を示した。

今回の会合では、米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁が、
金利維持の時間軸への言及を外すことを求め、反対票を投じた。