2011年貿易収支は31年ぶり赤字転落、過去2番目の赤字額

財務省が25日に発表した2011年貿易統計速報によると、
貿易収支(原数値)は2兆4927億円の赤字となった。

東日本大震災や歴史的な円高、海外経済の下振れなどで
輸出が2年ぶりに減少に転じる一方、原油価格の高止まりなどで
輸入が増加したことが影響した。

暦年での貿易赤字は、第2次石油危機で
原油輸入額が膨らんだ1980年以来、31年ぶり。

暦年の貿易赤字は、比較可能な統計となる1979年以降では、
第2次石油危機の影響を受けた1979年と1980年の2回で、今回で3度目。

過去最大の赤字額は1980年の2兆6129億円で、
2011年の赤字は過去2番目の大きさだった。
2010年の貿易収支は6兆6347億円の黒字だった。

先行きについて財務省では「輸出は震災、円高
経済下振れが影響。輸入は原粗油価格の高止まりなどが
影響した。これら様々な要因がどう変化するか見極めることが
重要で、とりわけ輸出動向に注視していく」としている。

2011年は輸出が自動車、半導体等電子部品などの減少で、
前年比2.7%減の65兆5547億円となった。
減少は2年ぶり。

四半期ベースでは、4〜6月に震災の影響で自動車輸出が低迷、
7〜9月にサプライチェーンの復旧で輸出全体が回復に転じたが、
10〜12月に欧州債務危機を背景とする欧州の需要減で再び減少に転じた。

輸入は原粗油、液化天然ガスLNG)などの増加で
同12.0%増の68兆0474億円。
2年連続で増加した。

原油価格の高止まりや原発の稼働停止で、
火力発電所向け液化天然ガスの需要が影響した。
液化天然ガスの輸入は額・伸び率とも過去最大。

2011年の為替レート(税関長公示レート平均)は、
79.97円/ドルで対前年比9.2%の円高だった。

2011年の輸入原油単価は前年比24.7%上昇の
5万4645円/キロリットルで、ドルベースでは
同37.3%上昇の108.6ドル/バレルだった。
ドル建単価は過去最高だった。

12月の貿易収支も2051億円の赤字となった。

世界経済の減速などで輸出が伸び悩み、
3カ月連続の赤字。

輸出は前年比8.0%減の5兆6237億円と3カ月連続で減少、
輸入は同8.1%増の5兆8288億円と24カ月連続で増加した。

輸出は世界的なIT需要減の影響で
半導体等電子部品(同13.0%減)が低調。
プラスチック(同17.3%減)の減少も響いた。

地域別では、米国向け輸出は前年比3.9%増の
1兆0083億円で、2カ月連続で増加した。
2008年10月以来の1兆円台を回復した。

中国向け輸出は同16.2%減となり、
3カ月連続の減少となった。

欧州連合EU)向け輸出は
前年比12.7%減で3カ月連続で減少した。
輸入は同3.2%増で9カ月連続で増加。
輸出・輸入の差し引きは前年比47.8%減の1147億円で、
12月としては過去最低の水準となった。

為替レート(税関長公示レート平均)は、
77.59円/ドルで対前年比7.2%の円高だった。

輸入の増加品目は原粗油(19.5%増)、
液化天然ガス(同59.3%増)など。
輸入原油単価は前年比22.9%上昇の
5万5693円/キロリットル、ドルベースでは
同32.4%上昇の114.1ドル/バレルだった。