欧銀依存度高いアジア、資金繰り問題発生しやすい=西村日銀副総裁

日銀の西村清彦副総裁は8日都内で講演し、アジア経済について
銀行依存度が高く債券市場が十分発達しておらず、
欧州銀行など外資への依存度が高く、欧州ソブリン問題の
深刻化に伴い資金繰りなどの問題が発生しやすい脆弱性があると指摘した。

西村副総裁は、アジア各国では「短期の外貨調達が困難化した場合、
直ちに資金繰り面での問題が発生しやすい」とし、ある国の
「通貨が売られた際には銀行の債務残高が増加し、経営が悪化する」と指摘。

「プロジェクト・ファイナンスや貿易金融では、欧州系金融機関など
外資に大きく依存している」ことを背景に欧州問題が深刻化した
昨年8〜12月は、「アジアの株式や債券市場から
10月を除き資金が流出した」点を挙げた。

アジア域内の金融市場発達には、レポ取引など
有担保市場の育成が急務と強調。

昨年11月に日本とタイの間で結ばれた国債を担保とした
二国間取引などは発展する余地が多いとの見方を示した。

またアジア域内での円と
人民元による決済拡充も提唱。

現在は米ドルを介して取引されている円と人民元を、
直接交換できる市場が発展すれば、取引コストや
決済リスクが低下するとして、円・元直接取引市場の発展が
「日中両国のみならず、アジア地域全体の
金融安定にとっても重要」と指摘した

アジア域内の債券市場発展には、発行残高が多く
信用力の高い日本国債金利ベンチマーク的機能を
果たし得るほか、国際取引での担保としても有用と提案した。