2月の英中銀議事録、追加緩和観測高まる

イングランド銀行(英中央銀行)が22日公表した
2月8〜9日に開催の金融政策委員会(MPC)議事録によると、
資産買い入れの500億ポンド拡大は7対2で決定、
マイルズ委員とポーゼン委員は750億ポンドの拡大を
主張していたことが明らかになった。

ハト派の急先鋒であるポーゼン委員に加え、マイルズ委員も
一段の追加緩和拡大を主張してことで、
英中銀による追加緩和観測が高まった。

ただ一部委員は、インフレが中銀の予想を上回って
加速する恐れがあるとして、追加緩和の実施を
検討しないとの立場を示しており、金融政策委内の
意見の対立の深さも浮き彫りにした。

英中銀は前週公表した四半期ごとのインフレ報告書で、
中期インフレ見通しを目標の2%に近い水準に引き上げていた。

これに加え、英経済は回復の兆候が鮮明になっており、
エコノミストの間では、追加緩和の機運は
低下しているとの見方が大勢になっていた。

そのため今回の議事録を受けて、現在の量的緩和策が
終了する5月にも英中銀がさらなる量的緩和策を
打ち出すかどうかをめぐる議論が再燃した格好となった。

マイルズ委員とポーゼン委員は、需要抑制により
中期的にインフレが実質的に目標水準を長らく
下回るリスクを指摘、追加資産買い入れは
失業増大と企業の余剰設備廃棄の悪循環リスクを
低下させるとの考えを示した。

しかし多くの委員は、500億ポンド以上の拡大は
「経済状況が現状よりも悪いとMPCが判断している
シグナルを送るリスク」につながると懸念していた。

500億ポンド拡大を支持した委員の判断も一様ではなく、
「一部委員は、今回は政策スタンスを据え置くことも
あり得る」との考えを示していたという。

ただ500億ポンドあるいは750億ポンドの拡大であっても、
予測できる将来にインフレを2%以下に抑えることは十分としている。

金利据え置きは全会一致で決定した。

議事録では、エリザベス女王即位60周年の休日を挙げて
「一時的要因により、当面の成長は振れやすくなる可能性が高い。
その後の成長は家計の回復に支えられ徐々に強まる」との見通しを示した。

中期的なインフレ基調にはかなりの不透明感があると、
先週のインフレリポートでの見方を示した。

また需要の伸びが余剰設備を十分に吸収するほど
ではない下振れリスクがあると指摘した。