米FRB議長がインフレ注視の姿勢強調、政策転換検討の鍵に

 
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長と
プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁は29日、
超緩和的な金融政策を転換する時期が到来すれば、
その時はインフレ抑制が非常に重要になるとの認識を示した。

インフレ率がFRBの目標である前年比2.0%近くで推移するなか、
連邦公開市場委員会FOMC)メンバーの焦点は経済成長の支援と
8.3%という失業率の低下となっているが、FRBの非伝統的措置が
物価の大幅上昇の種をまいたのではないか、との懸念も根強い。

バーナンキ議長は、ジョージ・ワシントン大学で行った講義で、
「常日頃からインフレ面を注視し、将来において物価安定が
維持されインフレが低位安定するとの安心感がなければならない」と指摘。

「それらをわれわれは注目していく。単純な定式はないが、
経済が力強さを増し、ある時点で一層持続的となれば、
FRBによる多大な後押しの必要性は減退し始めるだろう」と語った。

次回FOMCまであと1カ月弱だが、FRB政策金利を引き上げたり、
バランスシート上の資産を売却するのはまだ先との見方が多い。

むしろ、バーナンキ議長が今週、労働市場を支援する必要性を
強調したことから、市場ではFRB量的緩和第3弾(QE3)に
踏み切るとの観測が台頭している。

29日に発表された新規失業保険週間申請件数(季節調整済み)は
前週から5000件減少して35万9000件と、2008年4月以来の低水準となった。

フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は、景気が回復し続ければ、
FRBには金融政策転換への圧力が一段とかかるとの見方を示した。

プロッサー総裁は講演後、記者団に「経済成長が改善し続け、
失業率も継続的に低下した場合、FRBに対し政策スタンスの
引き締めを開始するよう圧力が高まる」と発言。

「景気回復を阻害するようなショック」がなければ
「2014年末までに利上げする必要があるだろう」と述べた。

その上で、フェデラルファンド(FF)金利を0.75%まで
引き上げたとしても「非常に緩和的な政策スタンスで
あることには変わりない」と語った。

FRBは、景気支援に向け事実上のゼロ金利政策を継続し、
2回の量的緩和策(QE1、QE2)により
米国債などの大規模な買い入れを行った。

直近のFOMCでは、現行の事実上のゼロ金利政策
2014年終盤まで継続する方針を示している。

利上げに踏み切るとなれば、
将来のインフレ抑制が目的となる。

ただ、FRBのバランスシートは過去最大規模に膨張し、
原油価格という不透明要因もあり、政策転換の
タイミングを見極めるのは難しい。

プロッサー総裁は「このような状況はこれまでなかった。
どの程度早く利上げする必要があるのか、
われわれも分からない」と述べた。

その上で、FRBは最終的には「インフレ高進」の回避を
成し遂げると確信していると語った。
次回FOMCは4月24〜25日に開催される。