3月の貿易収支は再び赤字転落、2011年度は過去最大の赤字

財務省が19日に発表した3月貿易統計速報によると、
貿易収支(原数値)は826億円の赤字となった。

燃料価格の高止まりで輸入が
増加基調を続けるなか、再び赤字に転落した。
赤字は2カ月ぶり。

ただ、輸出は米国向けなどが2桁増となるなど
自動車輸出の復調などで6カ月ぶりに増加に転じた。

2011年度貿易収支(原数値)は
4兆4101億円の赤字となった。

赤字額としては、比較可能な
1979年度以降で過去最大。

これまでの最高は石油危機の影響で原油輸入額が
膨らんだ1979年度の3兆1278億円だった。

財務省では、輸出が回復基調に戻ったかどうかについては
「為替動向や海外経済動向など見る必要がある」(財務省筋)としている。

輸出は前年比5.9%増の
6兆2042億円、6カ月ぶりに増加した。

昨年3月が東日本大震災の発生で
低水準だったことも影響した。

品目では自動車が前年比44.7%増と復調基調を示した
2月(同7.4%増)よりさらに伸び率が拡大し、輸出をけん引した。

減少品目は船舶(16.9%減)など。

地域別では、米国向け輸出が
前年比23.9%増と5カ月連続で増加。
伸び率は2010年7月(同25.9%増)
以来の高い伸びを記録した。

他方、欧州債務危機を契機に低迷している欧州連合EU)向け
輸出は前年比9.7%減で、6カ月連続で減少した。

中国向け輸出も欧州債務危機の影響で低迷を続けており、
同5.9%減と6カ月連続で減少した。

為替レート(税関長公示レート平均)は、
1ドル81.04円で対前年比1.6%の円高だった。

輸入は同10.5%増の6兆2868億円。
原油価格の高止まりや原発の稼働停止に伴う
液化天然ガスの輸入増で増加基調が続いている。
増加は27カ月連続。
原粗油(22.8増)や
液化天然ガス(58.7%増)が増加した。
このうち、液化天然ガスは価格ベースでは過去最高、
数量ベースでも1月に次ぐ第2位の大きさを記録した。
輸入原油単価は前年比15.9%上昇の6万1872円/キロリットル、
ドルベースでは同17.7%上昇の121.4ドル/バレルだった。

輸出は前年比0.0%、輸入は同6.5%増だった。

2011年度貿易収支(原数値)は4兆円を
超す過去最大の赤字を記録した。

東日本大震災の影響や欧州債務危機を契機とした
世界経済の減速などで輸出が2年ぶりに減少する一方、
輸入が原発の稼働停止に伴う代替燃料輸入増で
2年連続で増加し、3月11日に発生した
東日本大震災の影響を色濃く反映した。

輸出は前年度比3.7%減の
65兆2819億円で2年ぶりの減少となった。

東日本大震災サプライチェーンが寸断され自動車を
中心に大幅に減少した後、7〜9月期には、
サプライチェーンの復旧に伴う自動車輸出の回復で
持ち直したが、年度後半は欧州債務危機を契機とした
海外経済の減速やタイの洪水の影響で再び沈んだ。

品目別では、半導体等電子部品(前年度比14.7%減)、
自動車(同5.4%減)などが減少した。
増加品目は金属加工機械(同27.0%増)。

地域別では、米国向け輸出が前年比0.8%減。
欧州連合EU)向けが前年比3.6%減。
中国向け輸出も欧州債務危機の影響で同6.9%減となった。
いずれも2年ぶりの減少。

為替レート(税関長公示レート平均)は、
1ドル78.98円で対前年度比8.3%の円高だった。

輸入は前年度比11.6%増の69兆6920億円。

原油価格の上昇や原発の稼働停止に伴う
液化天然ガスの輸入増で2年連続の増加となった。
輸入原油単価は前年度比24.9%上昇の
5万6675円/キロリットル、ドルベースでは
同36.2%上昇の114.1ドル/バレルだった。