英経済の見通し、ユーロ圏危機で悪化=キング中銀総裁

イングランド銀行(英中銀)のキング総裁は26日、
議会の財務委員会で証言し、ユーロ圏の混乱により、
ここ数週間で英経済の見通しが悪化したとの見解を示した。

総裁は、2008年に始まった金融危機からの回復において
各国は依然として道半ばにも達していないとし、
ユーロ圏の混乱を受けて企業が投資をためらう中、
英経済は連鎖的に悪化する恐れがあると指摘。

「われわれは深刻な危機のさなかにあり、
国内銀行システムの健全化という
大きな課題に直面している」と述べた。

ユーロ圏の見通しについては「私は悲観的だ。
懸念しているのは、この2年間にユーロ圏の状況が悪化し、
問題が先送りされているためだ」とし、「5月のインフレ報告以降、
6週間での状況の変わりように驚いている」と述べた。

英経済は、金融危機発生以来、2度目のリセッションに陥った。

ユーロ圏危機のため企業が投資を控え、輸出が打撃を受けており、
英景気低迷が長期化するとの懸念が強まっている。

英政府と中銀は今月、協調して銀行システムへの
資金供給を行う方針を明らかにした。

銀行の資金調達コストを下げることで企業や家計への融資を
促すことを狙った新たな資金供給策について、キング総裁は、
数週間以内に開始するとの見通しを示した。

総裁は、世界的な景気減速が米国や新興国
根付く兆候が見られるとも指摘した。

「過去数カ月にわたり私が特に懸念しているのは
アジアやその他の新興国の状況悪化だ」とし、
6月6〜7日の金融政策委員会(MPC)で自身が
追加緩和を主張したのもこうした懸念からだと説明。

「米国の当局者も国内経済の状況について
年初よりも懸念を強めている」と述べた。

6月のMPCは資産買い入れ枠の据え置きを5対4で
決定したが、キング総裁は買い入れ枠の
500億ポンド増額を主張して反対票を投じた。

エコノミストの間では、7月のMPCは買い入れ枠の
拡大を決定するとの予想が大勢となっている。

この日の総裁の発言は、7月の買い入れ枠拡大への
期待を高める格好となった。

キング総裁は、追加量的緩和によって経済を刺激することは
依然可能との見方を示し、「資産買い入れは
行き止まりには来ておらず、必要があれば活用する」と述べた。

ただ、超低金利は長期的にリスクとなる可能性があり、
金融政策のみで危機を収束させることはできないとの考えも示した。