米FRB当局者、追加緩和の必要性をめぐり意見分かれる

米連邦準備理事会(FRB)当局者の間で、景気支援に向けた
追加緩和が必要かどうかについて意見が分かれている。

FRBの中でハト派とされるシカゴ地区連銀のエバンズ総裁は27日、
高失業率と低インフレにもかかわらず、FRBが景気支援に
消極的な立場を取っていることに困惑していると述べた。

一方、アトランタ地区連銀のロックハート総裁は、
景気がさらに悪化したり、欧州問題が深刻化した場合にのみ、
追加措置が必要になるとの見解を示した。

同総裁は、公共放送PBSの番組ナイトリー・ビジネス・リポートの
インタビューで「さらなる行動が必要になるほど状況が悪化した
とは思わない」と述べ、FRBが先週のFOMCで決定した
ツイストオペの延長が引き続き、弱い回復に適切な支援を
提供するとの見方を示した。

また、欧州の問題悪化や米経済の劇的な減速、大量のレイオフ
デフレスパイラルのリスクが、量的緩和第3弾(QE3)を含めた
FRBの追加措置を促す要因になると指摘。

「状況に応じて必要であれば、追加緩和を
実施する可能性がある」との考えを示した。

ロックハート総裁はエバンズ総裁とは異なり、
今年の連邦公開市場委員会FOMC)で投票権を持っている。

先週のFOMCFRB当局者は、2012年と2013年の
米経済成長見通しを大幅に下方修正。

インフレ見通しも引き下げた。

雇用の最大化と物価安定というFRBの責務達成への歩みが、
停止せずともペースダウンしていることが裏付けられた。

FOMCでは新たな債券買い入れは見送られ、ツイストオペの
6カ月延長というより控えめな措置にとどまった。

エバンズ総裁は、シカゴ地区連銀の本部で記者団に対し
FRBの経済見通しを踏まえれば、インフレ見通しは
われわれの目標を下回っており、なぜFRBが積極的に
一段の措置を講じないのか、理解に苦しむ」と語った。

その上で、失業率が「完全に容認できない」水準にあり、
インフレ率の低下が見込まれるなか、FRBは追加緩和措置を
講じるべきとの見解を示した。

また、ツイストオペの延長はないよりましだが、
10年債の利回りを0.1%程度引き下げるにすぎないと述べた。

エバンズ総裁は、FRBは1月に2つの責務達成に向け
「均衡のとれた手法」を用いる方針を示しているが、
雇用を増やすために若干のインフレは容認すべきと主張。

「われわれは『均衡のとれた手法』とは何かを明確にしていない。
わたしは、若干のインフレ上昇のリスクを冒しても緩和的な政策を
とることだと思う。どの程度かというのはもっともな質問で、
これはあまり明確にされていない」と述べた。

FRBは先週、金利は少なくとも2014年遅くまで
低水準に維持されるべきとのガイダンスを維持したが、
当局者の全面的な支持を得たものとは考えられていない。

エバンズ総裁はこのガイダンスを明確にすべきと主張。

失業率が7%を下回るまで、あるいはインフレ率が3%を
上回る見通しとなるまで低金利を維持することを約束すべき、
という自身の考えを改めて表明した。

FRB当局者の意見の相違は、
追加緩和の不確実性を示している。