ユーロ不安は解消しない

今週の為替相場は、ユーロが
主役の動きになると見ています。

スペインやイタリアの国債利回りが上昇するなかで、
ユーロ売りが強まる動きが見られました。

財政赤字問題の深刻さが強く意識される展開となり、
ユーロ売りが一段と強まる場面がありましたが、
ドラギECB総裁が「ECBは何でもやる」と
発言したことを受けて、ユーロが一気に
買い戻される動きとなりました。

ECBがユーロ危機に強い決意で臨んでいると
見られたことがユーロの買い戻しに繋がったわけです。

問題は、ドラギ総裁は前のめりの発言をしましたが、
ECBがその役割を越えて過剰な負担を行うことに、
不快感を示す国があることです。

ECBが毀損するようなことに対して、
批判的な声は少なくないのも事実です。

それでも、ドラギ総裁がユーロ支援について、
積極的な発言を行ったのは、危機が
より深化していることだと思います。

債券売り、株売り、ユーロ売りが連鎖するなかで、
危機が加速度を増していたことが、
その背景にあったと思います。

とりあえず、ドラギ発言がユーロの買い戻し、
債券利回りの低下、株価の上昇に寄与しました。

安心感とまでは言えませんが、
不安感をとりあえず鎮める効果は
あったようです。

ただ、これでユーロを
買って安心という状況ではないようです。

このため、ドラギ発言を巡る各国高官発言を注意深く
見極める動きが続くものと思います。

その意味で、ユーロの上昇余地は
乏しいものと考えます。

安心感で買い戻された分の
反動に注意したいと思います。

一方、米国では経済の低迷を
示す指標が出ています。

雇用統計の冴えない動きが続く一方、
GDPも厳しい状況が明らかになっています。

大統領選を戦っているオバマ大統領にすれば、
かなり焦っている状況だと思います。

このまま何もしないと、
当選は覚束ないことになりそうです。

そのために、FRBに対する圧力は
一段と強まるものと思います。

追加緩和に対する思惑が、
ドルに与える影響は
大きくなると考えています。

ドルも買いにくい通貨として
意識されるものと見ています。

結局、相対評価で円が上昇しやすい
流れに変化はないと思います。

予想レンジは、
ドル円が73.80〜79.80円、
ユーロ円が93.80〜98.80円、
英ポンド円が117.80〜125.80円、
ドル円が77.80〜84.80円。