「財政の崖」回避失敗なら想定以上の深刻な影響=CBO

米議会予算局(CBO)は22日、
最新の経済・財政見通しを発表した。

減税失効や歳出の自動削減開始が重なる来年1月の
「財政の崖」について、当局が解決策を講じられない場合、
経済への影響は当初の想定以上に深刻なものになる
との認識を示した。

CBOは「財政の崖」が回避されなければ2013年の
国内総生産GDP)はマイナス0.5%になると予想。

CBOのこれまでの予想はプラス0.5%だった。

2013年上半期は特に厳しくなると警告。

増税と歳出削減により上半期のGDPはマイナス2.9%になるとし、
5月の予想のマイナス1.9%から引き下げた。

下半期はやや上向くものの依然弱い見通しで、
1.9%のプラス成長を予想。

従来予想はプラス2.3%だった。

CBOは見通しを引き下げた主な理由として、
今年2月に給与税減税と失業保険給付が年末まで
延長されたことで、これら措置の失効の影響が一段と
大きな落差になって表れると指摘した。

世界経済全体と米経済の見通しが
前回報告時より悪化したことも理由とした。

今会計年度(2011年10月〜2012年9月)の赤字予想は
1兆1280億ドルで、前回の1兆1710億ドルから下方修正した。

メディケア(高齢者向け医療保険)、メディケイド
低所得者向け公的医療保険)向け支出が予想を下回った。

CBOのダグ・エルメンドルフ局長は22日の記者会見で、
議会が「財政の崖」回避に向けた策を講じられない場合、
米国は「著しいリセッション(景気後退)」に陥り、
約200万人の雇用が失われると述べ、
従来より厳しい見通しを示した。

局長は、財政の崖に陥るとの見通しや事態をめぐる
不透明感によって既に景気が圧迫され、企業は投資や
新規採用の決定を先送りしていると指摘。

「不透明感の解消は早ければ早いほどいい」と語った。

11月6日の米大統領選までに議会とホワイトハウス
歳出削減や減税措置の延長をめぐる意見の相違を
解決できる公算は小さい。

選挙後のレームダック(死に体)議会で進展がある
可能性もあるが、それも予測は不可能だ。

厳しい見通しが示されたものの、民主党共和党はともに、
今のところ目立った動きを見せていない。