ECB、利回り幅の目標設定を検討=中銀関係筋

欧州中央銀行(ECB)は、新たな債券買い入れ計画で、
利回り幅の目標設定を検討している。ECBの戦略を
明かさないことで、投機筋が利益をあげようとすることを
防ぐためだという。
関係筋が24日、ロイターに対し明らかにした。

関係筋によると、利回り幅の設定は、ECB内で支持が
高まってきている選択肢の1つだが、9月6日の理事会前に
決定が下されることはない見通し。

あるユーロ圏中銀当局者は、匿名を条件に「同案は複数の作業部会で
現在検討されている選択肢の一つであり、今後理事会で
取り扱われる見通しだ。最もあり得る手法であるとともに、
最も成功する可能性がある」と語った。

利回り幅がどの程度になるのか、また利回りを低下させる上で、
ECBがどの時点でどのように債券市場に介入するかについては
明確になっていない。

さらに議論の一端として、目標とする利回り幅を
絶対的な利回り水準とするか、指標独連邦債との
利回り格差を用いるかについても検討されているという。

ドラギECB総裁は今月に入り、スペイン、
イタリア国債利回りを低下させるため、ECBとして
国債を買い入れる可能性を示唆。

具体的には欧州救済基金が発行市場で長期債を購入し、
ECBは流通市場で短期債を購入する案をほのめかした。

前週末には独シュピーゲル誌が、ECBは債務危機に陥った
ユーロ圏諸国の国債買い入れについて、独連邦債に対する
プレミアムが一定水準を越えた場合に買い入れを
実施する方針だと報じている。

債券市場への介入に関する目標を明かさないことで、
ECBにとってはサプライズ的要素を提供できるほか、
投資家にとってはECBの動きを予測することが
一層困難になるが、そうなればECBに動きがあるまで
債券が売られ続けることにもなりかねない。

ECBのスポークスマンは今回、先のシュピーゲル報道後に出した
ECB声明を引用し、まだ決定されていない計画について
報道することは誤解を招くと重ねて表明した。