独首相、ギリシャ支援条件緩和で譲歩せずトロイカ報告待つ姿勢堅持

メルケル独首相は24日、ギリシャのサマラス首相と会談し、
同国がユーロ圏にとどまることを望むとしたが、
支援条件の緩和については歩み寄る姿勢を見せなかった。

一方のサマラス首相は、会談後に行われた共同記者会見で
ギリシャは約束を果たし、義務を遂行する」と発言。

「3つのことを明確にしたい。まずは結果を出すということ。
われわれは財政赤字ギリシャに対する不信感の両方を
同時に減らそうと取り組んでいるということ。そして早期に
責任を果たすには成長が不可欠という点だ」と述べた。

その上で、欧州委員会欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金IMF)による
トロイカの報告書が新政権の目標達成に向けた決意を実証すると確信しているとし、
「われわれはさらなる資金を求めているのではない。ただ息をつける間を
与えてもらえるよう要請しているだけだ」とした。

会談を前に、財政再建改革の実行期限延期を要請する意向を
示していたサマラス首相だったが、メルケル首相からは
「ドイツは性急な判断を下さず、トロイカの報告書を待つ」
との言葉しか得られなかった。

サマラス首相は25日にオランド仏大統領とも会談するが、
同じような結果になる公算が大きい。

独仏首脳は23日、サマラス首相との会談を前に意見調整を行った。

ギリシャは支援条件の緩和について協議する前に、
財政再建目標を達成すべきとし、この問題に独仏首脳が
足並みをそろえて取り組む姿勢を示した。

ただメルケル首相は「ギリシャはユーロ圏の一部であり、
そうあり続けることを望む」とも述べ、独仏首脳が
ギリシャのユーロ残留を望んでいることに疑いの余地はないとした。

メルケル首相が会談で慎重姿勢を崩さなかったことに加え、
欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れへの期待が後退する中、
欧州株、ユーロはこの日、ともに下落した。

ベルリンを訪問したサマラス首相への
ドイツ国内の反応は冷ややかだった。

与党キリスト教民主同盟(CDU)のカウダー連邦議会院内総務は、
ギリシャ支援条件の実行期限、内容に関する再交渉はしないと断言し、
ギリシャが離脱しても、ユーロ圏にとっては何ら問題はない」と述べた。

ドイツ版フィナンシャル・タイムズ紙は24日、
ドイツのシュテフェン財務次官主導で発足した
ワーキンググループが、ギリシャのユーロ圏離脱によって
引き起こされる経済的な影響を試算していると伝えた。

またビルト紙はサマラス首相に対し、独納税者に
損失を負わせないよう確約を求めるなど、
国内メディアの大半ではギリシャに対する
厳しい論調が目立っている。

サマラス首相は記者会見で、こうしたギリシャのユーロ離脱の
可能性をめぐる「雑音」が、財政再建に不可欠な民営化の実施を
阻害しているとして批判。

「(ギリシャの旧通貨)ドラクマで返済が行われると予想される状況で、
企業がユーロ建てで投資したいと思うはずがない」と不満を表明した。

メルケル首相は、自身が主導した緊縮措置について
ギリシャのメディアがどのように報じているか
日々目を通しているとし、独紙の報道内容について
自身ができることはないと答えた。