危機の予見、中銀はスパイのように情報収集を=西村日銀副総裁

日銀の西村清彦副総裁は29日、スイスのバーゼルで開かれた
国際決済銀行(BIS)主催の会合で講演し、リーマン・ショックのような
金融危機を予見するには「統計では不十分」とし、中央銀行の統計担当者は
市場情報の収集と分析を通じて「激変の予兆を見つけ出す
探偵かスパイでなければならない」と指摘した。

西村副総裁は2007年のパリバ・ショックを例に挙げ、
中央銀行証券化商品の動向や米マネーマーケットファンド
MMF)の資産構成など、市場の情報を十分に持っていれば、
ショックの引き金となった住宅ローン担保証券RMBS)の
格下げとMMFへの影響などを把握することでショックを
軽減できた可能性があると指摘した。

一方、統計上は危機の予見は難しかったとし、「市場情報の収集と
分析は極めて重要。経済統計と同様に積極的に活用されるべき」と述べた。

中央銀行は「金融市場で貴重な情報を抽出する上で
比較的優位な立場にある」とし、金融機関との
日々の取引を通じた情報収集活動の重要性を強調した。