円高に「断固たる行動」、中尾財務官がロンドン講演で強調

財務省の中尾武彦財務官は29日、ロンドンで開かれたイベントで
スピーチし、日本は円高による影響に対処するため、為替市場に
断固たる姿勢で介入する可能性がある、との考えを示した。

財務官は「サプライチェーンの変化や、欧州・一部先進国・中国の問題で、
輸出が影響を受けている。非常に大幅な円高にも苦しめられている」とした上で、
「必要があれば、われわれは市場で断固たる行動をとる。
それがわれわれのスタンスだ」と語った。

日本当局は昨年11月を最後に介入を見送っているが、
最近は円高が景気回復を阻害することを懸念し、
再び口先介入を始めている。

欧州の問題については、「欧州中央銀行(ECB)が
ユーロ圏諸国の債券を買い入るためどんな行動をとるか、
関心を持って見ている。ドラギ総裁が約束した措置を
ECBが行うことを望む」と述べた。

刺激策に基づく成長プランに偏らず、財政健全化に取り組む
英国の姿勢を評価するとともに、日本でも増税もしくは
歳出削減を選択する公算が大きいと指摘。

「年金や医療への政府の支払いが増えるのなら
国民に負担をお願いする、というのは当然だ」と語った。

さらに「政府財政への支えとして今後数年で一段の税制対策を
行う必要があるが、(現行の5%から)8%への消費税引き上げに
向けた最近の動きは重要な一歩となる」と述べた。