8月の貿易収支は2カ月連続赤字、対中・EU向け輸出の大幅減響く

財務省20日に発表した8月貿易統計速報によると、
貿易収支(原数値)は7541億円の赤字となった。

欧州債務危機を契機とする海外経済の減速で、
中国や欧州連合EU)向け輸出が大幅に減少し、
輸出が3カ月連続で減少したことが響いた。
貿易収支の赤字は2カ月連続。
単月の赤字額として過去7番目の大きさとなった。

先行きについて財務省では「海外経済の下振れリスクや
為替動向に留意する必要がある」としている。

領土問題をめぐる日中関係の悪化が8月の貿易統計に
どの程度反映されたかは判然としないが、対日デモの高まりで
「9月分に出てくる可能性はある」(財務省筋)としている。

輸出は前年比5.8%減の
5兆0459億円で、3カ月連続で減少した。

主な減少品目は鉱物性燃料(同31.4%減)、
船舶(同28.4%減)、鉄鋼(同8.3%)など。

輸出の回復基調を支えてきた自動車が前年比1.8%減と、
2011年12月(同4.1%減)以来のマイナスに転じた。

地域別では、米国向け輸出が前年比10.3%増と
10カ月連続で増加したが、EU向け輸出が
前年比22.9%減と大きく沈んだ。

減少は11カ月連続で、減少幅も6月以来3カ月連続で
20%を超える大幅なマイナスが続いている。

この結果、対EUの貿易収支は962億円の赤字となり、
過去最大の赤字を更新した。
赤字は4カ月連続。

中国向け輸出も同9.9%減と
3カ月連続で減少した。

為替レート(税関長公示レート平均)は
1ドル78.47円で対前年比0.8%の円安だった。

輸入は同5.4%減の5兆8000億円で
2カ月ぶりに減少した。

原粗油の価格低下が背景で、2009年12月
(同5.5%減)以来の減少幅を記録した。

輸入原油単価は前年比9.5%低下の5万0850円/キロリットルで、
ドルベースでは同10.1%低下の103.0ドル/バレルだった。

品目では、原粗油(8.5%減)や非鉄金属(31.4%減)、
石炭(20.3%減)などが減少した。