世界経済、日中間の領有権争いが回復の足かせ要因に=OECD
経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は20日、
世界経済について、世界貿易の低迷や日中間の
領有権争いによって回復が阻害されており、
2008〜2009年の金融危機以降で最もぜい弱な
状態にあるとの見解を示した。
ロイターとのインタビューで語った。
事務総長は、景気回復には世界貿易の再生が不可欠であり、
それが達成できなければ、保護貿易政策が
再燃するリスクが生じると指摘。
「貿易はわれわれを窮地から救い出す可能性があった。
2009年に悪化して以降、伸びが加速し順調に見えた。
だが現在は再び後退し、低迷している。これが景気の
回復力に影響を及ぼしている」と語った。
さらに、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる
日中間の対立も景気回復の足かせになっていると指摘した。
グリア事務総長は「タイミングが良くないようだ。
誰もがどのようにして危機を脱するかに重点を置くなか、
おそらく現在非常に必要とされている信頼を
損ねている」と述べた。
また、各国政府が短期的な自国経済の支援のために
保護貿易政策を用いることに警鐘を鳴らし、
世界貿易機関(WTO)やその前身機関を通じて
長年促進されてきた富の創出が損なわれると警告。
「長年にわたって培われてきたものは、短絡的な
保護貿易政策によって容易に消失する。保護貿易主義には
断固として対抗する必要がある」と強調した。