英経済の行方、ユーロ圏情勢に左右される=キング中銀総裁

イングランド銀行(英中央銀行)のキング総裁は20日
英経済について、ゆっくりと回復しつつあるものの、
先行きはユーロ圏債務危機の収束に左右されるとの考えを示した。

総裁就任から10年近く経って初めて
テレビの生放送でインタビューに答えた。

総裁はチャンネル4ニュースのインタビューで、
「来四半期はおそらく上向きになる。回復の兆しは
見え始めている。ただし回復は緩慢になる。銀行危機を
経た後、通常の状態に戻るには時間がかかる」と述べ、
英国にとって最も重要な課題は今後の危機発生を防ぐため、
銀行の規制改革を実施することだと指摘した。

また、こうした厳しい状況を踏まえ、英政府が
主要な債務削減目標を達成しなくても「容認できる」
だろうとの見解を示した。

英経済は昨年終盤に危機以降
2回目のリセッション(景気後退)に陥った。

キング総裁や大方の民間エコノミストは、
今四半期にプラス成長に回復すると予想しているが、
総裁はそれ以降の英経済の行方については
海外要因に左右されると指摘。

「英経済はユーロ圏情勢、及び世界情勢に
大きく左右される」とし、「米国はやや苦しんでおり、
中国経済は減速している。英経済が今の足踏み状態から
脱却するスピードは、世界情勢に左右される」と述べた。

また、ユーロ圏について「(政策当局者は)すべての加盟国を
ユーロ圏にとどめようと努力を続けているが、
それが可能である保証はない」とし、ユーロ圏崩壊の
可能性は依然としてあると警告した。

キング総裁は8月の記者会見で、ユーロ圏は
英米の企業信頼感の上に垂れ込める「暗雲」を
作り出していると発言しており、この日の発言も
同様の趣旨のものとなった。

英中銀は景気支援に向け、7月に500億ポンド
(810億ドル)拡大した資産買い入れプログラム
(期間4カ月)を実施中で、大方のエコノミスト
11月に買い入れ額が500億ポンド増額されると予想している。

キング総裁は11月の政策決定に関して直接言及しなかったが、
資産買い入れプログラムは依然として効果的との見解を示した。

また、英中銀は2009年12月以降目標の2%を上回っている
インフレ率の押し下げにもコミットしていると語った。

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不正操作問題については、他にも複数の銀行が関与していると述べ、
「規制当局はいずれその時期が来れば報告書を公表するだろう。
起訴される可能性もあり、多額の罰金が求められるだろう」
との見解を示した。