独などがESMの銀行資本注入めぐり声明、EU合意と矛盾も

ドイツ、オランダ、フィンランドの3カ国は25日、
欧州安定メカニズム(ESM)による銀行への
直接資本注入をめぐり、6月の欧州連合EU
首脳会議の合意事項と矛盾するような見解を示した。

3カ国の財務相ヘルシンキでの会談後に声明を発表した。

声明では将来発生する銀行の問題と「過去」の問題を
明確に区別し、多額の債務を抱えるスペインや
アイルランドギリシャの銀行については
実質的に各国政府が引き続き責任を負うとの見方を示唆。

「ESMは新たな監督の下で生じる問題に関して
直接責任を負うことができるが、旧資産は
各国当局の責任とすべき」としている。

3カ国の政府関係者に声明の記述について説明を求めたものの、
詳細への言及は差し控えるとした。

ただ、ヘルシンキでの会談の内容を知るユーロ圏当局者は
「ESMの直接資本注入は過去の問題への対処に
活用されるべきでないということだ」と述べた。

ESMによる資本注入の詳細は今後数週間に行われる
当局者の協議に左右されるが、ドイツなど3カ国の
主張が支持されれば、金融市場に大きな打撃となる公算が大きい。

6月のEU首脳会議での合意について市場は、
ESMがアイルランドやスペインの銀行に
直接資本を注入することが可能になり、
政府の負担が軽減されると解釈していた。

あるEU当局者は3カ国の声明について、
6月の合意をほぼ完全に白紙に戻し、債務危機
解決に向けた努力を妨げるものだと指摘した。

その上で、フィンランドとオランダを念頭に
「後戻りしようとしている国がいくつかあるが、
成功するだけの支持を集められるとは思わない」
との見方を示した。

また「『過去』の問題という考え方は
新しい概念だ」と述べた。

声明を発表した3カ国の財務省の関係者は、
声明では6月に合意した内容を明確に
しただけだと強調し、来年予定される一元的な
銀行監督機関の創設を経てESMによる
直接資本注入が可能になった後は、ユーロ圏の
「存続可能」な銀行と「存続不可能」な銀行を
見分けることが課題になると指摘した。

ESMによる資本注入の対象になるのは
「存続可能」な銀行のみで、その他の銀行は
民間を通じて資本増強するか、政府による
清算の対象になるとの見方を示した。

この関係者はさらに、声明を受けてこの問題が
議題として取り上げられると述べ、議論を
再燃させることが声明の狙いだった可能性を示唆した。