日本の自動車メーカーが中国で相次ぎ減産、日中関係悪化で販売減

折からの景気減速と日中関係悪化による販売減が重なり、
日本の自動車メーカーが中国で減産に動き出した。

現時点では10月の国慶節(建国記念日)の休暇明けまでと
期間を限定しているが、二国間の関係に改善の兆しは見えず、
生産調整は長引く可能性もある。

これまでのところ日産自動車とスズキ、
トヨタ自動車、ホンダが減産を決めた。

日産は乗用車を生産する中国の合弁会社
東風日産で27日から工場の操業を停止する。

当初は9月30日から10月7日の国慶節の期間中に
休業する予定だったが、中国の需要減に対応し、
生産停止を3日間前倒しする。

東風日産は花都工場(広東省)など3工場を持つ。

スズキはすでに9月24日から
重慶市の四輪車工場の操業を短縮。

通常の昼夜2交代制を、
9月28日まで昼稼働のみにした。

トヨタは現地企業との合弁会社、天津一汽トヨタ
天津市)と広汽トヨタ広東省広州市)が
9月26日から生産を停止している。

国慶節の休暇をまたぎ、
10月8日から稼働する予定。

ホンダは詳細を明らかにしていないが、
生産調整を続けているという。

もともと中国の自動車市場は
景気減速により失速。

8月はトヨタの販売が前年比15.1%減少するなど、
日本の各社は在庫が積み上がり始めていた。

そこへ尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる
反日デモが先鋭化し、日本メーカーは販売が
一段と鈍化した。

バンクオブアメリカ・メリルリンチBOA)の
9月21日のアナリストリポートによると、
日本勢にとって最大の市場、広東省では
ディーラーへの来客数が大幅に減少し、
販売は平均で前年比6割減少しているという。

中国駐在のトヨタの販売担当者は「(今回の状況は)
かなり厳しい」と述べ、先行きに対する不安を口にする。

「(高級ブランド車の)レクサスは全店で営業を再開したが、
日本車を所有すること自体に不安を持つお客さんも多い」と語る。

BOAのリポートによると、広東省では日本勢に代わって
ドイツと米国、韓国メーカーが販売を伸ばしているという。

とりわけ独フォルクス・ワーゲン(VW)、
ゼネラル・モーターズGM)のビュイック
販売は平均で前月比4割増加した。

中国の別のトヨタ幹部は、今年の中国の販売目標である
100万台の達成は難しいとの見方を示す。

前年実績は約90万台。

「(目標達成は)ほぼ不可能。日本勢の販売状況は
どこも苦しい。トヨタだけではない」と話す。

日産は国慶節明けの10月8日から生産を再開する予定だが、
市場の状況を見て柔軟に対応する考え。

スズキも国慶節明けの対応は未定という。

アドバンスト・リサーチ・ジャパンの自動車担当アナリスト、
遠藤功治氏は「当面は前年比2〜3割の販売減少が続くだろう」と指摘。

「前回(反日がデモが起きた)2010年のときは
1カ月ぐらいで収まって、そんなに影響は出なかったが、
今回は明らかに違うと思う」と話す。

マツダ国慶節の休暇に入る直前の9月28日と
29日に南京工場の操業を停止するが、販売減速による
生産調整ではなく、新車の生産を準備するためとしている。

三菱自動車工業の中国工場は通常通り操業している。