枝野経産相が原発国営化を提起

枝野幸男経済産業相は28日の閣議後会見で、
原子力発電の事業体制について「事故が起きた時の
コストを民間企業だけで負担できないのに、
利益は民間が上げるがリスクは国が負担する
ということは成り立たない」と述べた。

同日発売の著書の中で枝野氏は「原発は事実上、
国が運営する以外にはない」との考えを示している。

同氏は会見で「(原発運営体制の)問題点を
指摘した」と語った。

経産相は、「リスクをどれくらい電力会社が
背負うべきなのかは、賠償について詳細な議論を
進めていく」と語った一方で、「論理的に当然のことを
示しただけで、いま具体的にこうあるべきと
判断できる状況にはない」と述べた。

「2030年代の原発稼働ゼロ」を目指す政府の
「革新的エネルギー・環境戦略」は、「国策民営の下で
進められてきた原子力事業体制については、
官民の責任の所在の明確化について検討を進める」と、
体制見直しに触れているが具体的な道筋を示していない。

放射性廃棄物の処理を含む、原発にとって
最大の懸案の一つである「バックエンド」についても、
同戦略は「民間任せにせず、国も責任を持つ」と明記。

原子力事業における国と民間の役割見直しは、
先送りができない課題として浮上している。

今後の議論の進め方について枝野氏は、「発送電分離による
送電網を中立公正化(の議論)を先行させ、ベネフィットだけ
民間企業(電力会社)が受けて、リスクとコストは
国が負担するわけにはいかない、という点も含めた
賠償のあり方についての議論の中で検討されていく」と答えた。