G7では新財務相が歴史的円高のデメリット説明へ=安住財務相

安住淳財務相は28日、閣議後の会見で、
為替動向について「歴史的な円高水準にある」と述べ、
近く東京で開催される予定のG7財務相中央銀行総裁会議では、
円高による経済の下振れリスクなどデメリットが
大きいことを新財務相が説明することになるとの認識を示した。

日米欧7カ国(G7)は、IMF・世銀総会開催に会わせて、
来月11日に東京で財務相中央銀行総裁会議を開く予定で
調整を進めている。

G7で円高を議題にする考えはないかとの問いに安住財務相は、
「(歴史的な円高で)日本がどういう状況にあり、
どういう下振れリスクがあるか。新しい財務相
IMF・世銀総会でのバイ会談を含め、円高要因が
日本経済にとって非常にデメリットが大きいことを
説明することはいい」と語った。

秋の補正予算編成の必要性については判断を留保した。

安住財務相は、不安定な世界経済が日本経済の
下振れリスクになっているとし「財政的なサポートは
重要な課題だ。そのやり方、方法については、
新しい内閣で総合的にデータを勘案しながらやりたい」と語った。

一方で、「特例公債法が通らないで、
大型補正というのも物理的に難しい」とも指摘。

「その制約のなかで、限られた予備費等を使って
下支えができるのか、いろいろなことを
検討していかなければならない」と
慎重な見方を示した。

自民党安倍晋三新総裁が消費税上げに慎重とも
受け止められる発言を選挙戦で展開したことに
関連しては、データを共有し同じ土俵で
かみ合った議論をしたいと呼びかけた。

安倍新総裁は消費税の引き上げ時期を間違えると
景気の腰を折るとして、「デフレが続いている間は
上げるべきではない」と先送りも視野に入れる発言を行った。

これに対して安住財務相は、消費税引き上げを含む
社会保障・税一体改革法でも、景気に配慮した
弾力条項を明記しているが数値を条件にしたものではないと
繰り返し、「『ちゃぶ台返し』は不毛な対立を呼ぶ」とけん制した。

成立した法案には自民党も賛成したとことだと
強調し、法律に従って対応すると語った。

その上で安住財務相は安倍新総裁について「政治経験も長く、
行政運営全般、財政状況も含め知っている。財政再建の必要性も
十分認識がある」と評価し、前向きの論争を期待した。

特例公債法成立に向けては、自民党の安倍新総裁も
石破新幹事長も「政争の具にすべきではない」と
言及したことを上げ、「総理との党首会談で合意が
得られれば日本にとってよい」と期待した。

さらに、安倍新総裁が就任後の記者会見でも、
2012年度予算の減額補正が特例公債法への
協力の条件としたことに関しては、具体的に
減額補正の中身と規模を出してほしいと呼びかけた。

「減額補正をすれば特例公債をというのであれば
どういう減額補正が必要かということを提示して
もらえれば、政府として受け止める可能性はある」と述べ、
具体的な提案が示されれば「真剣に党としても受け止めたいし、
財務省としても真剣に議論したい」と
前向きに取り組む考えを示した。