ユーロ圏銀行監督めぐる意見対立、独連銀総裁「限度超えてはならない」

ユーロ圏の銀行監督のあり方について、欧州中央銀行(ECB)の
クーレ専務理事とドイツ連銀(中央銀行)のバイトマン総裁が
19日、異なる見解を示した。

欧州は経済統合の深化と通貨ユーロの防衛に向け、
域内銀行の管理を一元化する銀行同盟を目指しているが、
詳細やプロセスなどをめぐり意見が対立している。

19日の発言は、ECB理事会内の
意見の食い違いを鮮明にした。

クーレECB専務理事は、ブリュッセルでの講演で、
一元化された監督メカニズムでユーロ圏のすべての銀行を
対象とすることが極めて重要との認識を示した。

ドイツは、ECBの監督対象はシステム上重要な
大規模銀行に限定し、地方銀行などは当該国の
当局に任せるべきと主張している。

しかしクーレ専務理事は、ECBの監督対象を限定すれば、
監督対象外となった銀行はリスクがあるとみなされ、
預金集めや資金調達などに支障をきたすと懸念。

「2段階のシステムは不公平につながり、実質的に
銀行セクターを区分することになる。それはまさしく、
今われわれが修復しようとしている問題だ」と語った。

これに対し、バイトマン独連銀総裁は、新たな監督制度が
「限度を超える」ことがあってはならない、と警告。

各国が負担すべきリスクは各国監督当局が引き続き
責任を持つべきだと強調し、経営危機に陥った銀行の
破綻処理に関するルールを提案した。

「各国が負うべきリスクに、引き続き国レベルの
責任が存在すると言える」とし、域内の他の国の
納税者がリスクを負担することがあってはならない
との認識を示した。

経営危機に陥った銀行に対応する強力なシステムも提唱し
「欧州レベルでリスクをカバーする場合は、協調した
管理・介入が可能であるべき」と述べた。

イトマン総裁は、ECBの金融政策と銀行監督には
「運用面で利益相反リスクがある」として、
明確な切り分けを求めた。

さらに、銀行監督においてドイツが
より強い発言力を持つべきとの考えも示した。